割れ思う

 デカルトの有名な言葉に、「我思う、ゆえに我あり」というのがある。これをごく単純な記号に直し、遺伝情報として植物の中に入れる人がいるそうな。
 なんでも、以前にも「蛍光うさぎ」を同じような遺伝子操作で作ったとのことで、芸術として世に出しているとのこと。ただしほんとに「蛍光」遺伝子が入ってるか、かなりの眉唾ものなんだけど。


 そもそも遺伝子というのは、たった4つの暗号で成り立つ情報で、この暗号を切り張りすることができれば、いかような暗号でも作ることができる。その暗号は生物にとって意味をもつ部分と、そうじゃない部分に分かれるんだけど、人為的に作り上げた暗号が意味あるものかどうかは、生物のなかに入れ込まれないと分からない。
 でもね、「我思う、ゆえに我あり」なんて適当な言葉、暗号化できかつ生物のなかにうまく入れることができても、意味があるものとして働く可能性なんかほとんどないと思うのね。
 実際この遺伝暗号を入れられたトマトの写真を見ても、どこが作者のいう「我思う、ゆえに我あり」が表現されているのか分からない。
 まぁ、その出来不出来はおくとして、これって、間違いなく”命”をもてあそんだお遊びだよね。
 この人の考え、ものすごく、ひずみ、ヒビが入ってるような気がするんだけど。
 おまけに、どこをもてあそんでいるか分からないものを堂々と世に出すとは、二重の意味でひずんでいるよね。
 きっと作者の思考、ひずみきって、「割れ物の上に割れあり」ってなことになってるんだろうね。

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