時刻

カレンダーを見て、今年もあと少しなんだぁと感慨に耽っていたら、ふと思い出した。17,8年前になるだろうか、病院勤めの休憩時間かなにかのとき、先輩医師がボクにこう訊いた。
「人生が一日だとしたら今何時ぐらいにいると思う」
 先輩医師が自分の時刻をなんといったかは定かでないけど、ボクはまだ若かったし、日は暮れてはないと思いますがと応えた記憶がある。どうしてそんなことを訊かれたかも覚えてないんだけど、印象だけは強く残った。実年令と違う尺度で人生を、それも数値で語らせようとするなんて、興味を惹かれますよね。


 で、ボクも今までに何人かに同じ質問をしてきた。結果は、まぁ人それぞれってとこだった。この質問はどういうわけか大好きで、自分自身にもなんどか訊いてきた。とくにここを開業したときなんかは、もう夜の12時近くに感じていたことを思い出す。開業するまではバリバリ手術やってたわけで、そういう生活から離れなくちゃならないのであれば、ほとんど布団を押入から出しているのと同じかなぁっと感じたわけで。それでも日々診療を重ねていくうちに、こんなちっちゃなクリニックでもヤッパやることがある、しなくちゃいけないことがある、寝ちゃいけないのだろうということで、夕方くらいだろうなと、思い直し始めたのが開業して1年目ぐらいだっただろうか。
 結局あの質問って、人生、やりたいこと、やらなくちゃいけないことを、今どれくらいやれているんですか、というものだったんですね。
 もう一つおもしろい点は、逆にやりたいことがなければ、答えられない質問でもあるってとこ。最初に訊かれたときは、実年齢のスタンスで答えていただけのような気がするなぁ。ほんとは答えられない質問だったのかもしれない。そういえばその先輩医師は、県代表になるほどのダンスの名手で、自身いろんなやりたいこと目指していての質問だったかもしれないなぁ。
 ついでにノーベル賞受賞パーティで船をこいでおられた小柴さんに、この質問したら、どんな答えが返ってくるのだろう。
 こしば取っても希望をもて。そんなとこでしょうか。
 じつは、この質問から、ヒトは潜在的リスクにはかなり鈍感だという話に結びつけようと思ったのだが、うまくいかなかった。まぁそんなときもあるのでしょう。これでボクの日沈までの時間が少し長くなったかもしれないということで。
 でもこの質問、一回は自身の回答、考えてみる価値ありませんか?

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