TOR

この年になると欲望も枯れてくる。強いて言えばあと100年も生きられればいいかな、ぐらいなものだ。
そんなとき、ふと書店で手にしたのが「Why We Die」(ヴェンカトラマン
・ラマクリシュマン著)
長寿研究に関する本だ。

一般向けの本ではあるが、論文の要約である抄録をいくつもまとめた感のあるもので、医学的な基礎知識がないと相当手こずるものと推測された。

もちろん相当に手こずりながら読了したが、そのなかで興味を引いたのがTORだ。

酵母の研究から発見された蛋白質だが、多くの生物種にその存在が確かめられている。

それまで細胞というのは、いわば成長のスイッチがオンの状態のままで、ある時期にストップがかけられるまで成長し増殖していくと考えられていたが、このTORは細胞の成長に関しオンオフの役割を担っているという。

この性質が利用できれば細胞の成長を休ませて長寿を得ることができるのではないか、というのだ。

本ではこのオンオフの作用イメージを蒸気機関車と自動車を例にとって説明している。
いわく「蒸気機関車はひとたび動き出せば」「運転手が停止動作をするまでひたすら線路を走り続ける」しかし、「自動車はアクセルを踏まなければ走り続けることはない」

なるほどと感心していたのだが、ふと疑問がわいてきた。
蒸気機関車だって走り出すときはいわばアクセルを踏まないとだめではないのだろうか。

でAIに訊くとこんな具合だ。

「蒸気機関車における「アクセル」に相当するものは、加減弁(かげんべん)です」「車のアクセルペダルと同様に、加減弁を操作することで機関車の動力を調整し、走行速度を変化させます」

ふーん、そうなんだ…。

まぁ、こんな重箱の隅をつつくような感じで人の上げ足を取るような100年であれば長生きしなくてもいいか。