HL7

お上の医療機関への強要は、年を追ってひどくなっている。
やれオンライン顔認証だ、やれ電子処方せんだ、やれ電子カルテの共有だ、といろんな年貢が百姓の肩に重くのしかかる。

一向一揆を起こしたいのだが、所属団体が一向に一揆を起こす気はなく、しかたなく顔認証や電子処方せんの体制を作っているのが現状だ。
あとは電子カルテの共有さえ仕上げれば、とりあえずこのドン百姓の年貢割り当てはこなしたことになる。

とうことで、「HL7version3入門」にざっとと目を通してみた。HL7とは電子カルテ共有のバックボーンとなる医療情報標準化規格のことだ。

実は10年以上も前に購入したもので、薄っぺらい本だが、そのときも理解に苦労した記憶がある。
医療行為のカテゴリを定義し、詳細を提供できる形式を提案し、いろんな医療機関の情報を共有するための規格だろうというのはなんとなく推測できるのだが、細部となるとかなり面倒で、結局十分な理解を得ることなく閉じていた。
よし今回は名誉挽回、と意気込んで目を通す。

読み進めると次のような説明に出会う。

Act(行為)は赤色、Entity(実体)は緑色、Role(役割)は黄色、Participation(参加)は青色、ActRelationShip(行為関係)はピンク、Non-core classes(非中核クラス)は濃い青で示される。

それぞれの内容の理解の前に、ふと手が止まってしまった。載せられた図を観ても緑がないのだ。カミさんに訊くと、ここにあるじゃないかと指さす箇所の色は薄い青にしか見えない。

いわゆる色弱だ。以前紐解いたときはそんなトラブルはなかったはずだ。
そういえばお上の年貢取り立てがきびしく、ここ1年ほどパソコンの画面を見つめる時間が増えていた。きっとそのせいで目が疲弊しているに違いないと、再びお上への恨みが募りだし、クワを手に立ち上がろうとしたが、家のなかにクワがないことに気づき、やめにした。

結局、難解であることの再確認と色弱の確認をするだけの作業に終わってしまったのだが、とはいえ、出て来る吐息の色は、間違いなく青色、それも濃いそうな色だと理解できたから、もうしばらくチャレンジしてみようと思う。