なめる

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 ワープロで”なめる”を変換すると、”舐める”と”嘗める”が出てくる。
 岩波国語辞典で引くと同じ言葉として挙げてあり、意味はこうある。
【 ① 舌でなでる。「親猫が子猫を―」「部屋の隅隅まで―ようにきれいに掃除する」。噛(か)まずに舌でなで回して味わう。「飴(あめ)を―」。比ゆ的に(炎の舌先が触れて)燃える。「数十戸を め尽くす」 ② ゆっくりと味わう。「杯を―」(杯の酒を、最後の一滴まで惜しむように、味わって飲む) ③ (つらいことを)十分に体験する。「辛酸を―」 ④ ばかにする。「親を―」】


 ”嘗める”の方は略字化された文字が出てくる場合もあるかもしれないが、正しくは、オバQカンムリに”口”を書いてその下に”ヒ”と”日”を連ねたものだ。
「臥薪嘗胆」を見よ。つまり、”嘗める”は口がヒーヒ-いうまでなめるのだ。
 一方、”舐める”は”舌”と”低”の”つくり”が合体したものだ。低いというのは、少ないという意味にも通じる。少しずつなめるように使う石が砥石だということからも推し量れる。
 つまり”舐める”はちょっとだけ舌につけるというようなことなのだ。
 とまぁ日本漢字学会をいろんな意味で震撼させるような真しやかな説を披露してみたが、今日のメモはそこにはない。
 問題は、なぜ”なめる”に④の「ばかにする」という意味が付与されたのか、ということだ。
 ①や②はよく分かる。もう一度例文でおさらいしてみよう。
 ①ここの訪問者は、メモを隅々までなめるように見てない。②メモをなめるようにゆっくりと味わってない。
 全くその通りだろう。では③はどうか。
 読みづらいメモで辛酸をなめている。
 ”読みづらいメモで辛酸をなめている”…少し分かりにくいけど、なんとなく苦い青汁をなめさせられている情景が浮かんでくるではないか。
 なのに④はどうか。”メモをなめている”、”院長をなめまわしている”
 これは、おかしないいまわしだろ。いつメモをなめたんだ。いつ院長はツバをつけられたんだ。
 そもそも、人からなめられることは不快なことなのか。あのとき顔や首をなめていないだろうか。クリントン大統領はイヤだったとでもいうのか。
 愛猫家や愛犬家が自分の顔をペロペロなめさせているのは、一体なんなのか。
これを見ながら、もう一度考えてみるのもいいだろう。
きっとこのメモをますますなめたくなるに違いない。

 以前はリンク先のネコがぺろぺろスクリーンをなめ回していたのですが。引っ越し先のどこかにいるようですがよく分かりませんでした。 ’06年11月追記

“なめる” への2件の返信

  1. なめるをメモに選んだ先生、なめてもらいたいのかなぁーとか 考えました(≧∀≦) ぺろ~っち。かわいい ねこちゃん なめるの上手でした(^o^;
    なめるで他に思い出したのは 一休さんでお尚さんの水飴をぺろぺろなめる話がありましたね。(^^)
    一休さんまた 再放送ないかなぁー

  2. M院長は、お酒の席でもよくしゃべる。
    そろそろ呂律があやしいぞって頃になると、ひとりでしゃべって、それに自分で突っ込みを入れるようになる。
    そこで飛び出す言葉がこれ、「なめとんか?」である。
    にこにこしながら、「なめとんか?」まるで、なめて欲しいと言ってるように聞こえるのは王様だけではないはず・・・。
    ケンネルズのライブの打ち上げに出れば、きっとめぐりあえるシチュエーションです。

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