からくり玉転がし

karakuri
 ときに見かける遊びがある。
 きっと多くの人が知っていることだろう。高い場所から玉を転がす遊びだ。ただし単に転がっていくわけではない。途中にさまざまな仕掛けが用意されている。
 動く玉が羽根車を動かしてみたり、重しが置かれた紐を解き放ちそれに繋がれた風船を宙へ舞い上がらせたりして見るもの目を見張らせることもある。だが醍醐味はなんといっても玉の運動が引き継がれる瞬間だろう。


 玉がからくりを動かし、その動作が違う玉を押し出す。玉同士が直接ぶつかったり、あるいは動いていた玉がシーソーやドミノを動かし片方に位置する玉を動かしたりする。違う玉になっても動きは引き継がれ、ふたたび移動は続く。
 正式の名称があるのかもしれないが、勝手に、”からくり玉転がし”と名付けてみた。
 どいういうわけか、見入ってしまう。とくに玉の動きが引き継がれる段にさしかかると、うまくことが運ぶのを祈ってしまう。
 なぜなんだろう。人生を重ねているのだろうか。ときおり、つまずきそうになったり止まりそうになったりする己を励ましているのだろうか。
 やがていくつもの難関をくぐり抜け玉がゴールすると、そのからくりの制作に関わったわけでも、なにか褒美のおすそわけに与るわけでもないのになんだかうれしくなる。
 玉はもう動かなくなってしまうというのに、喜んでしまう。

“からくり玉転がし” への1件の返信

  1. あれぇ~!?始めっから題名に“からくり”ついてたかなぁ・・・

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