行動

 昨日に続き、ワンちゃんのニュースより。こちらは日本の話で、山のなかで散歩してたその飼い主とその愛犬ナナが熊に出会ったそうな。その飼い主、不幸にも熊に襲われた。
 ところがナナは熊の注意を引くようにほえ続け、おかげで飼い主は危機を抜け出すことができたという。でもナナは、熊と一緒に山のなかに入ったきり。いわゆる身を挺して飼い主を守ったワンちゃんということで、安否が気遣われているらしい。


 自分の身を投げ出したナナはえらい。学校の先生が怒り始めたら目を合わさないようにしていた少年院長より、はるかにえらい。
 でも、なんとなく違うような気がするんだよなぁ。
 ナナは突然の熊の出現にパニクり、ほえ続けたんだろう。そして確かに熊の注意は目の前のヒトからナナに移ったため、飼い主はその場から離れることができたんだろう。そこまでは想像に難くない。
 問題はそのあとのこと。ナナはホントに「わたしが犠牲になりますからご主人さま、お逃げ下さい」と願いながらほえ続けたんだろうか。
 ひょっとして、追いかけられながら、「なんでこんなことになっちゃったの」なんて思いはなかったんだろうか。
 動物の行動というのは、ヒトの身勝手な解釈がよく入るもの。
 先日も、診察室のイスに腰掛け、首を後屈させ目を閉じて沈思黙考していたら、スタッフから寝ていると勘違いされてしまった。
 確かに開いた目はすぐには焦点は合わなかったけど、目の生理とはそういうもので、暗いところから明るい所に出るとだれにでも起こること。患者がすわるべきイスに伸ばした院長の足が乗っていたのは、いつ来るとも分からない患者のためにイスを暖めていただけのことで、ましてや口もとから流れ落ちようとしていた液体は、患者が来ない割には汚れた床を拭うためのものなのに、スタッフはそう解釈してくれない。
 たしかに院長のような名医のところには、たかが風邪ぐらいで行ったら診察料の無駄遣いになるという、患者の心理は理解できる。じゃあ、からかいにでも行ってやろうか、とか、よその病院にいくと患者が多くて風邪でも移されたらたまらないから、ヒマそうな院長のところでも行ってみようか、とか思う患者はいないのか。
 ホントに患者の行動は理解できない。

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