筆跡 – 院長室

　字は下手だ。どれくらいのものか、右の画像でちょっと紹介してみた。
　最後から４番目をなんと読むのか、スタッフらと議論してようやく”汗”だと分かった始末だ。ついでにいうと、”デイケアで生汗が出た”と書かれていて、”汗”の線がなぞってあるのは、今度読むとき間違えないようにしたためだ。これほど注意深く人生を送っているのに、どういうわけか字は下手なのだ。

　この異常な筆跡はなにか病気を暗示しているかもしれない。というのは英国のStrang 女史が筆跡は心臓病の兆候であるかもしれないと唱えているからだ。
　女史は、６０代前半の心臓病を患ったことのある６１人と心臓病を経験したことのない４１人を対象に、筆跡の中断、変形した”Ｏ”、書いている途中で筆が止まることで生じる”残存点”について分析してみた。
　すると心臓病の既往がある人たちはそうでない人たちより、とりわけ”ａ”と”ｏ”の上半分に”残存点”が多かったという結果が出たという。
　もちろん女史の研究に異議を唱える科学者もたくさんいる。１人の科学者は「身体がきついほどの心臓病の人たちを調べれば、書いている途中で疲れてくることもあるだろう」ということで兆候というのはどうなの？ってな感じで反論している。
　それでもStrang 女史は身体に負担がかかり費用もかかる検査なしに筆跡で心臓病を早期に予測できることが、いつの日かできるようになることを期待している、ってなことがネタ元の記事で述べられている。
　直感で申し訳ないがどうもうさんくさい研究だというのが個人的な感想だ。
　確かに筆跡が病気の兆候であることがある。たとえばパーキンソン病では書く字が小さくなるという症状が出るのだが、それはその病気が手の動きに関係する神経疾患だからだ。だが心臓病と手の動きには必然性をもった関連がないと思われるのだ。
　でも女史は自信をもって研究を押し進めているようだ。そこまでいうなら、試しに院長の字で診断してもらおうではないか。