定数反応2


 以前、定数反応という題でメモしたことがある。
 quorum reaction という英語を「定数反応」と勝手に訳したものだが、どの国際学会からもクレームが来ていないので間違ってないのだろう。
 定数反応とは、集団のなかである数の個体たちが動けばそれにつられて他の個体が動く反応だ。
 正直この定義も正しいのかどうかあやふやなのだが、同じくどこからもクレームが寄せられてない。もし間違っていれば、たった今、定数反応学会を発足させたい。
 いづれにしてもそんな反応は経験的にありそうだ。


 ではどれほどの数の固体が動けば他の固体はつられるのか。つまり定数反応を起こさせる定数はどれほどのものか。
 前のメモで紹介したサカナロボットを利用した研究では、2つのロボットが並んで泳げば本物のサカナがそれらについていくということが明らかになっている。つまりサカナの場合、定数は2である。
 研究者らは今後、交差点での人の動きを研究することで人での定数をさぐってみる、というようなことを述べていたのだが、ひょうんなことから彼らより先に結論をえることができたので報告したい。
 まず DFW/ Around Town というニュース記事のヘタ訳をする。

 テキサスではすべてが大きい。それはビーチボールでも一緒だ。そのボールは日曜にエルム街に落とされ、ダラスのダウンタウンで弾んだ。
世界最大のビーチボール記録を打ち立てるためカーニバル船旅会社が試みたもの。ギネスによれば、ボールの直径は少なくとも10メーターある必要があり、実際のビーチボール素材で作られていなければならない。
 何人もの大人達がエルム街を転がるボールに惹きつけられた。
 カーニバル船会社はギネスブックの世界記録に入ることに成功しただけではなく、宣伝とタダでテレビ出演をすることができた。

 ここがニュース元だが、ぜひクリックして欲しい。というのはそのボールが落ちてくる映像が流れているからだ。(実はβ版のようでいつかリンクが切れる恐れがあるため、そのいくつかのシーンをキャプチャーしてアップしている。著作権の問題でクレームがくれば定数反応学会として対処するつもりだ)
 ここに人の定数反応が表れている。
 巨大なボールが空から落ちてくるのだ。もしその場に居合わせれば絶対下で受けようなどは思わない。重さが想像できないではないか。その下に潜り込むなど危険きわまりない行為で、そんなことをすればケガどころかヘタすれば命にも関わる事態も招きかねない。きっと定数学会会員の多くの方も同じ意見だろう。


 だがどうだ。映像ではみんな競って手をさしのべている。
 詳しく分析すると最初、数人が手を上げているのが分かる。それにつられて多くの人が行動を起こしているのだ。まさに定数反応が起こっているといえるだろう。
 そして最初に手を挙げた人の数が人の定数だ。
 さて何人だろうか。まずひとりが大きく手を挙げているのが分かる。その後ろの方でも二人手を挙げているようだ。だから人の定数は3のような気もするけど、よく見るとその直後にも数人が手を挙げていて、やがてまもなく群衆がこぞって手を挙げているようだ。
 3人もしくは5,6人というところだろうが、一体どこからを定数とすればいいのだろうか。
 定数学会初代会長として悩みに悩んだ。そして出た結論は、この画像だけでは定数が確定できないということだ。
 だが会員諸君、安心したまえ。人の定数は確定できるのだ。
 人が集まるこの映像とは逆のシーンを想像してみよう。
 そう、ボールの重みで人が押しつぶされ群衆が逃げまどうシーンだ。どうだろう、何人が群衆から出れば、それを見て群衆は動きはじめるか、頭に思い描くことができただろうか。これで人の定数が確定できるはずだ。
 それは3人でも5人でも6人でもない。



“定数反応2” への4件の返信

  1. 院長へ連絡があり、メールしたくて
    一週間考えて
    日本語へ変換したんですけど・・・
    メールが送れません、伝書バトのように戻ってきてしまいます

  2. おおっ!
    このボールを使ってウルトラマンチームと怪獣チームでバレーボールをやらせてみたい!

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