声質

dogvoice

 相手によって声色を変える人がいる。情けないやつだ。なんどそう思われてきたことだろう。
 番長や酋長と同じく院長を張っている今だからいえることだが、若いときは仕方のないことだった。えらい人と対面するときは足が地面に食い込こむほど腰が低く声もうわずっていた。そうしないとりっぱな医者になれないのだ。そしてそれをしてもりっぱな医者になれなかった。


 
 ああこんな過去を背負っているなんて、ほかの組長や船長に顔が立たないと思っていたら、どうもみんなそうらしいのだ。
 ピッツバーグ大学で行われた研究で、男性の声は相手によって声の高さが変わるということが明らかになったのだ。
 111名の男子学生を対象にこんな実験が行われた。
 魅力的な女子生徒とデートができるのだが、ただし条件がある。同性のライバルが一人がいるのだ。ライバルはずっと同じ男性だ。
 学生たちはその男性と自分は社会的、身体的にみてどれほどのものか点数をつけさせられる。つまり学生たちはその男性より自分が優位にあるかはたまた劣位にあるかを自己評価させられるというわけだ。
 ライバルが自分がいかにほかの学生と比べてすばらしいかを語っているのを聞かされたあと、それに応酬しなければならない。学生たちの声はあらかじめ録音されている。その声と応酬しているときの声と比較したらライバルより自分がすぐれていると思っている学生の声はローピッチで、逆に自分が劣ってると思っている場合はハイピッチだった。
 つまり自分より上だと思う人と対面するときは声のピッチが上がり、下だと格付けした人の場合は下がるというのだ。
 こうした声の変化はオスイヌなどにも見られるらしく、それを知ると地球に生きる一生物としてごく自然の振る舞いとしてきたかのとほっとしている。
 そうはいっても寮長や団長と同じく院長を張っている今は、さすがに声に変化はなくなったような気がする。
スタッフ「というよりローピッチになったんじゃ」
院長  「酋長と同じだから仕方ないか」
スタッフ「じゃなくて老ピッチ」

ネタ元
Men Act Like Dogs to Determine Dominance

“声質” への2件の返信

  1. 声・・変わりますよね。でも声だけなら、まだかわいいかな。
    人格まですっかり変わる人はちょっと・・こぇぇ~・・な。

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