兄弟

 院長には幸か不幸か兄姉がいる。幸は院長に兄姉がいることで、不幸は兄姉には院長がいることだ。もちろんオベンチャラに決まっている。だが、こうしたお世辞をいえるようになったのは、面倒見のいい兄姉が人生をいろいろ教えてくれたからだ。もちろん、このセリフも社交辞令に決まっている。
 とまぁこんな具合に兄姉のなかとはいえ、いくらでも相手をおだてることができるはずだ。


 だが、ネタ元の人物は違った。ちょっと年上というだけで80を過ぎてもまだ兄貴面しているのだ。
 で、弟の欠点はすぐものを忘れることだと、新聞で言いふらしている。
「ときどきものをどこに置いたか分からなくなり、急に時計や鍵や特別な書類がどこかに行ってしまうんだ」
もちろん78才の弟の長所も見抜いている。それは考えが明晰で慈悲深いことだ。でも口うるさい兄、弟が新しい仕事に就くときにはちゃんともの申す。
「年を取りすぎてるんじゃないの」
 実は二人とも同じ職業で、弟の新しい仕事の着任式のときに兄も出席している。でもプレゼントもなく、「直通の電話番号を教えてもらわなくっちゃ」ってな感じで式に臨んだそうな。
 広い世の中のことだから、そんな兄がいても別におかしくはないだろう。でも弟の新しい仕事は、”ローマ法王”なのだ。それを聞いたら、少なからずの人が違和感を抱くのじゃないだろうか。
 でも、なにが問題なのだろう。
 仕事に貴賤はないはずだが、法王職という点が問題なのだろうか。でも院長就任式であっても、「こいつはもの忘れがひどく、もうじき呆王になる」なんてことを兄姉からいわれたら、カチンとくるような気がする。年の問題もそうだ。やれるからやってるんだろう。
 結局、幸は兄にローマ法王がいることで、不幸は法王には兄がいることなのかしらね。

まぁある意味、すごいお兄さんではある。
ネタ元
Pope Is Forgetful, Elder Brother Says Apr 25, 2005

“兄弟” への2件の返信

  1. 80才過ぎたジジババの会話を思い出しました:
    「あんたタバコなんか吸いよったら早死にするばい!」
    早死にって何歳まで?w

  2. きっと法王の兄は弟がうらやましかったんでしょうね。
    でも、80を過ぎたらもっと分別がほしいな。

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