テスト

 テストに苦しめられる青春を送ってきた。なぜこんなものを受けなければならないのか、そう疑問を発しながら青春を送ってきた。だが、看護学校で教える身になりテストの重要性がようやく分かるようになった。
 授業中に居眠りしている学生やこちらを無視してしゃべり続けた学生たちへいかに報復するか、この重要な課題をテストは解決してくれるのだ。だが彼らもすぐそのテストの報復としてさらなる居眠りやおしゃべりを仕掛けてくる。
 それではと、こちらもさらに報復の度合いを上げると、生徒たちの無視も程度を増す。かくしてあたかも血を血で争うような報復合戦が続く。


 よく考えるとこれではいけない。これでは血と血をあわせてチアワセになっても誰もシアワセにならない。もう少しテストについて真剣に考えてみようとしていた矢先、テストについての記事が目に触れた。
 ワシントン大学の研究者たちの研究で、学生に散文のフレーズを覚えさせるのにテストがどう役立っているのかということを見たものだ。
 学生を二つのグループに分ける。どちらも5分間、ある散文を覚えさせるのだが、Aグループは覚えた直後に”思い出しテスト”を5分間行う。ただし答えの提示はしない。もうひとつのBグループはAグループが”思い出しテスト”をやっている5分間にも繰り返して覚えることをさせる。結局覚えるのにAグループは3.4回、Bグループは14回繰り返したことになった。
 この二つのグループがどれくらい散文のフレーズを覚えているか、実験開始5分後、2日後、1週後にそれぞれ調べてみると、5分後はAグループがフレーズの71%、Bグループが85%とAグループの方が学習効果が悪かったが、2日後ではAグループの方がわずかによくなり1週後では61%と40%と逆によくなっているという結果が出たというのだ。
 なぜこうした効果が出るのかについて議論は専門家たちに任せよう。学ぶべきは直後にテストを行えばいつかはいい結果が出るということだ。
 今度の講義が終わった後、すぐにテストをやってみよう。講義の準備に加えまた負担が増えることになるが、これも生徒たちのためだ。きっと授業中に居眠りしている学生やこちらを無視してしゃべり続けた学生にもいつかは学習効果が出るかもしれないではないか。
院長 「結果が出るまでいつまでも待つつもりだ」
生徒 「アホ院長、ありがとうございます」
院長 「1週といわず1ヶ月でも半年でも待とう」
生徒 「アホ院長の気持ちも知らず、私たちが悪うございました」
院長 「一年以上でも待つつもりだ」
生徒 「…ってことは」
院長 「君たち留年ね」
生徒 「テメェ」
 かくして血を血で争うような報復合戦は続くのである。

 

ネタ元
Remember the dreaded pop quiz?

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