退学

　名古屋には入学すると、学校でタバコ吸ったら退学ね、という約束をさせられる女子大がある。
　数年前から導入された制度で、その誓約書だけでなく、学校当局もタバコの害について知る機会を増やしたり、あるいは禁煙指導をしたりしているため、喫煙者が半減しているらしい。

　とてもいいことだ。院長がいままで世の中にしてきた善行の代表が、横断歩道の旗揚げだということを考えると、はるかにいいことを大学はしている。
　ただこうした誓約書というのは、どうなんだろう。ジョークだったらいいんだけど、なんとなくお上風吹かしてるようなカンジで、頂けないんだけど。
　確かにタバコはいけない。万有引力が真理なのと同様、タバコは有害だというのも、今から先もずっと真理のはずだ。だから大学はその真理を守ろうとしているのだろう。
　でも真理に反するからといって人を押さえつけていいんだろうか。万有引力に反して、なんとか飛ぼうとしている人を、退学させていいものだろうか。もちろんそれが高じてオカルト集団のように人に迷惑かけるようになっては論外だけど、そうじゃない限りは力で押さえるものじゃないはず。
　だから喫煙者を退学という力で押さえるのは、おかしいんじゃなかろうかと。
　少し熱が入ってしまった。ついでにビールもコップに入ってしまった。でも、もし「大酒のみの医者は免許剥奪」なんてことを当局が言い出したなら、などと夢想すると、とても他人事とは思えないのだ。
　だから女子学生諸君、立ち上がろう。
　まずタバコを吸う人は団結することだ。そうだ、まず喫煙クラブを作るがいい。もちろん部活の内容はタバコを吸うことだ。そこに立てこもり、吸う権利を訴えるのだ。
　大学はタバコの害を説き伏せるだろう。だけど、理解してはいけない。理解できないからこそ、この部に集まっているんだろうし。
大学「部室の空気が悪いじゃないか」
学生「それでも吸います」
大学「体が苦くしくなるだろう」
学生「それでも吸います」
大学「体が苦だぞ」
学生「それでも吸います」
大学「タイが苦、だぞ」
学生「…すいません」

まぁ、ちょっぴり複雑な疑問が残るニュースでした。