なんだかんだいっても、カミさんは気の優しい女性だ。二人の乳飲み子に接している姿を見れば分かる。暴れん坊の坊主たちを相手にやさしく声をかける。
考えてみればその云いようは日常の大人同士の会話でも変わらないような気がするのだ。
なぜこんな殊勝なメモしているのか説明しなくてはいけないだろう。
子供に話しかける、いわゆる赤ちゃん言葉と大人同士が使う言葉の違いは文化の違いに関わらず判別することができ、さらには赤ちゃん言葉は文化の違いに関わらず、なにをいっているかかなり理解できるという記事があったからだ。
もしそうだとすると、子供にも大人にも同じように語りかけるカミさんは特異な存在といわねばならないだろう。
記事に出てくるカリフォルニア大学の研究者たちがやった実験内容はこうだ。
英語が話せる母親の言葉をあたかも自分の子供に言い含めるように話すときと、あたかも大人同士で会話するときに分けて記録した。話は次の4つの状況が仮定された。
1)禁止する(子供ではなにかをしてはだめと注意する)2)誉める(子供では行動を励ます)3)心地よくする(泣いている子供をあやす)4)注意をうながす(子供ではこちらを見るように呼びかける)
この録音したものをエクアドルの農村社会に住むShuar族に聞いてもらった。彼らの言葉は文法的にも構文的にも英語とは全く異なるものだ。
すると73%の正確さで赤ちゃん言葉と大人の会話の言葉を区別することができたのだ。研究者によれば赤ちゃん言葉は平均のピッチが高く一般的にはゆっくりしているから判別可能だろうとのことだ。
それだけではなく、赤ちゃん言葉の方が4つの状況のなかでどれに相当するかをより当てることができたという。
この説明について、大人は子供に対して話すときより大げさに話すから分かりやすいのだろうと記事には書かれている。
研究の目的がどこにあるのか、いまひとつ分かりかねるし、かつ赤ちゃん言葉の状況がなぜ理解されやすいのかがよく理解できなかったが、それでも前述の理由で大変興味深いものであった。
ということで最初の疑問に戻りたい。果たしてカミさんは子供に話しかけるのと大人に話かけるのとでは、同じような言葉で話すことができているのだろうか。
試しにカミさんのセリフをスタッフに聞いてもらってみた。
私も猫と話すときは赤ちゃん言葉です。
傍で見てるとあほうにしか見えません。
わたしも昔、おしゃべりのできる子猫ちゃんと話すとき、赤ちゃん言葉を使ったことがあります。
遠い遠い昔の話ですけど。