夜インターネットで遊んでいるとふと現実かどうか迷ってしまうことがある。そばにあるビールの空き缶の数も現実のものかどうか区別がつかなくなるのだ。これではいけないとほかの人はどうネットと向き合っているのか調べていたら、やはり仮想空間にはまりこんで行った人たちがいた。
フランスでの出来事だ。ネットで知り合った男女はメールを始めた。女性は夢や希望をロマンチックな詩に載せて彼に送ってくる。きっと彼も負けず劣らずの希望に満ちたメールを送ったことだろう。そのうち二人はときどき艶っぽい話もできるような仲になる。
男はいままで付き合った女性にない魅力を感じ始めた。彼女から送られてきた半裸のかわいい写真を見せられれば、もうたまったものじゃない。メールを初めて六ヶ月目のことだ。
ビールを6日も止められた人なら分かるはずだ。心からこう思い始める。「会いたい」。
やがて密会の場所が決められる。それはプライベートビーチだ。約束の日に男は逸る気持ちを抑えながら砂浜に向かった。宵闇のなか遠くに彼女がいるのが分かる。見たこともない彼女だが想像した天使は彼女だと直感する。そしてその背後にゆっくり近づくのだ。
もはや二人は獣だ。匂いで相手を見極める美しい獣。彼女も近づく男を感じそしてそっと振り向く。二人は初めて見つめ合いより深くお互いを理解しあう。ふたりは小さな声をあげ、そしてそれぞれ心でこう叫ぶのだ。
「あ、むすこ」、そして「あ、かあさん」。
二割方の脚色があるが、こんなことがネタ元の記事に書いてある。もう少し捕捉すると女性は52才だ。男性の年は述べられていない。女性のだんな、つまり男性の父親でもある男の年齢は27才。男に送られたメールの写真は男性雑誌からスキャンしたものだ。
そしてなぜこれが記事になったかというと、遅くにプライベートビーチにいたことが警邏中の警官にとがめられたのが発端だという。
さてこの事件から学ぶべき事はなんだろう。年の差カップルが多く誕生している昨今、女性が52才、男性が27才の夫婦という点にはなにも問題ないだろう。
ネット上の出会い系サイトで知り合った二人が、たとえば居住地区の話題から盛り上がっていき、結局知り合いだったことが判明するというのも十分ありえる話だろう。それがたまたま息子と母親だったという以上のものではない。
気になるのは彼女の年齢だ。ネタ元には書いてないが、男性雑誌からの写真を送るぐらいだ。きっとサバよんでいたに違いない。婆さんではない。まだまだ若いんだという気持ちがこの事件を招いたのではないだろうか。バーチャル空間、仮想空間ではいくらでも若くなれる、そうした勘違いが事件を生み出したに違いない。
彼女にとっては、婆ちゃうの世界、男をだまくら仮想空間だったのだろう。
ネタ元
MAN DATES GAL ON INTERNET FOR SIX MONTHS — AND IT TURNS OUT SHE’S HIS MOTHER!
このおしゃべりで気の利かない警察官がいかんでしょう。名誉毀損で訴えるように忠告してあげたらどうですか。アメリカならすぐ弁護士が飛んでくるでしょうが。
この母親、いまごろネットで弁護士を捜しているかもしれません。
そのうちネット上で手を貸そうという弁護士が現れ、また”手を貸そう空間”に浸り、恋に陥る…んですかね。