不良債権の処理にメドが出てきたらしい。で思い出したこと。数年前のことだけど、近くのファミレスで一人で食事をしていたら、隣の席に三十代の夫婦と四十代の男性、三人が座ったのね。背中越しに会話が聞こえる。で、耳をそばだてていると、どうもマルチ商品の勧誘みたいだったのね。男性が夫婦を引っ張り込もうとしてるわけ。
男性が語りかける内容はこう。
モノが工場で作られ問屋に行くと値段が高くなる、問屋から小売店に行くとさらに高くなる、つまりモノが動くと価値が生まれる。だから男性が提示する商品をどんどん人を通して動かしていけばもうけが出て、その何割かをもらえるというもの。
モノが動くだけで価値、すなわち値段が上がっていくなら天井なしってことになり、単純に考えても男性のいうことはおかしいよね。でも週に何人に売れば、いくらのもうけが出るとか金銭欲をかき立てられると、なかなかそうは見抜けないみたい。そのご夫婦、だんだんその気になっておられ、家の一部を倉庫にしてもいいみたいな話にもなっていた。
日本の場合、商品が動いていると、マルチ商法とはいえない場合もあるようだけど、注意しなくちゃね。
でね、経済は素人だけど、バブルってのは土地を動かすだけで巨万の富を得ることができた日本総マルチ時代じゃないのかなぁって気がずーとしてたのね。で、ファミレスの男性と同じ役割をやってたのが銀行じゃないのかしら。
そこんとこの反省はなにもせず、税金いっぱいつぎ込んでもらっても、なんとなく再建している振りをしてるだけのような気がして。
思うに不良債権って、「フリよ、再建」ってのが正式名称じゃないのかしら。