有り余ると、ものの大切さを忘れがちになる。
有り余る親しさを以て診療にあたる院長の場合もそうだ。クリニックに行けばいつでもその親しさに触れることができる、そんな余裕がクリニックから患者の足を遠のかせているのだろう。
そんな患者にぜひ見せたいものがある。写真の少女がくわえている道具だ。
仮に女の子が日本の子供だったら、きっと多くの人はその子供がドロ水のなかに空気を送り込んで遊んでいると思うことだろう。
だがそれは有り余った水のなかで暮らしているものの考えだ。世界では水を手に入れるのがとても困難なところがたくさんある。
そんな地域に住むこの子はこれで水を吸っているのだ。
ライフストローと名付けられたこの道具は特殊な合成樹脂で作られている。汚水が管を通過する間にバクテリアをほぼ100%、ウイルスを99%殺してしまうという。つまりコレラや腸チフスなどがごちゃごちゃいる水でも飲めるようになるわけだ。ネタ元には少女の感想は述べられてなく、臭いや味がどんなものなのかも分からないが、きっと肯定的な意見を持っただろうことは容易に想像できる。
大きさは25cm弱と小さなものだが、それでも人一人がおよそ1年に使うと見積もられる700Lの水を濾過することができる。汚れて水を通さなくなると吸えなくなるようになっている。当初のものは鉄やフッ素などの重金属、あるいはある種の寄生虫は濾過できなかったが、それが可能なバージョンもあるらしい。
ということでこのストローが手に入ればクリニックで実演したいものだ。これで患者も水のたいせつさを再認識できるだろうし、院長のありがたさも思い出してくれるはずだ。
せっかくの機会だから患者にもやってもらおう。もちろん先に患者に吸ってもらうのは、いつも患者のことを優先させているものとして当たり前のことだ。
泥水を見てなかには嫌がる患者もでてくるかもしれない。アホ院長が勝手に飲めばいいではないかなどとたわごとを言い出す患者も出てくるかもしれない。
そのときはこう励ますつもりだ。
ネタ元
Water Filtration System in a Straw
うん。これを日本の子供に見せてやりたいですね。
それはそうと、院長には水がビールに変わるビールストローなんかいいんじゃないでしょうか?
こっそり飲めそうだし。
ビールを水に変えられないかと、毎日ストローで実験していますが、まだ先が見えません。