言語処理に優れたGPT-3というOpenAIが開発した人工知能がある。そのGPT-3を使って研究者が”自分について論文を書いてみろ”と指示すると、GPT-3は2時間で書き上げたという記事がScientific Americanにあった。
その記事のある個所で、研究者がその論文を査読査読付きジャーナルに投稿しようとしたときに出くわしたいくつかの問題が述べてある。
ひとつは投稿サイトに入ると第一著者の名前を記入しなければならないが、GPT-3と書いたものの次のlast nameがないため研究者は「none」つまり「なし」と記入した。所属は OpenAI.com、電話や電子メールはなどは研究者のものを記入したという。
さらに法務関連の個所に移ったとき、「すべての著者はこれが公開されることに同意しますか? 」との質問があり、法律の遵守を考えていた研究者は一瞬パニックったが、少し考えた。そして思い切ってGPT-3に「わたしたちと一緒に論文の筆頭著者になることに同意しますか?」と訊いたところ、GPT-3 「はい」と答え事なきを得たという。
いずれもAIならではの問題で、近い将来きちんとコンセンサスを得なければならないのだろうが、気になることがある。
複雑な同意事項を理解できるぐらいのAIに、研究者はなぜ名前はなにがいいのか尋ねなかったのだろう。
OpenAIに帰属するとはいえ、そのときのAIの気分で GPT-3 Jhonson とか GPT-3 White とかなにかの答えが得られそうなものなのに。
それが「none」とは。noneとも味気ない話である。