Fargo君

dogdrive

 Peering out over the bow of a motorboat という書き出しで始まる記事があった。
 Perring は”見つめている”、bow は”船のへさき”、motorboat は”ボートだ。つまりボートの先端でじっと周りを見渡している姿を表現したものだ。
 そこでは向かってくるさわやかな海風を船のどこよりも楽しむことができる。


 だがそこに立っているのは人ではない。犬のFargo君だ。同船している科学者は彼の動作を気にしている。そしてFargo君が足をボートのへりにかけ、おしりを高く突き出すときこそ、科学者が待っていた瞬間だ。
 Fargo君はセミクジラのウンコに反応したのだ。
 セミクジラは北大西洋に350頭あまりしかいないと考えられている。セミクジラの取り巻く環境になにか問題がないか、健康状態に異常はないかなどその理由を解き明かそうと組んでいる科学者たちはウンコに目をつけた。
 海に漂うウンコは茶やオレンジ、あるいは赤味がかっていて周りと区別がつくが、なんといっても恐ろしいほどの臭いが特徴だ。サンプルを調べているとき誤って服につけてしまった研究者は、強烈な臭いのため燃してしまおうかと思ったという。
 そのウンコ発見のために動員されたのがFargo君というわけだ。それまでは偶然、海に漂うウンコに当たるか、研究者の鼻に頼っていたが、彼が乗船し出してからより多くウンコが見つかるようになっている。
 おかげでセミクジラの生理的機能やここ5年間、生殖活動が行われていないことなどいろんなことが判明してきているという。
 発見率の向上が本当だとすれば、Fargo君はえらい。ウンコは相当に臭そうで、ヒトの百万倍も発達した嗅覚をもつ犬だからFargo君の活躍もありえないことはないだろう。
 でもよく考えてみて欲しい。大海原とは海よりも大きい原っぱなんだぞ。そんなところで、いくら臭いとはいえ、ほんの小さな点にしか過ぎないウンコを見つけることができるだろうか。こうなれば実際にFargo君の活躍を見てみたいものだ。
Fargo君「実は自信がないんです」
院長   「やっぱり?」
Fargo君「だから乗船中は動き回るようにしてます」
院長   「どうして?」
Fargo君「犬も歩けば bow に当たるような気がして」

Fargo君と画像は関係ありません。
ネタ元
Dog sniffs out whale scat

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