猛暑

 なんでも、インド洋で発生したモンスーンががんばり過ぎて、成層圏に近いところで高気圧ができてるそうな。そのチベット高気圧というやつが、今年の猛暑の原因らしい。 ホントに暑い。チベット高気圧さん、あなたの力は分かった。分かりすぎるくらい分かったから、もうチベット、その力を緩めてもらえないだろうか。


 というのは、最近ウチに来た子イヌが、暑くてのびそうなのだ。よく知られているように、院長はよく恥をかくけど、イヌは汗をかかない。口でハーハーいって体温調節している。これを”あえぎ”というらしいけど、そのあえぎの回数が異常に多くなってる。見ててもうマネできないくらいの速さになっている。
 そんなに子イヌをいじめておもしろいか。たしかにあちこちにソソウをする子イヌだ。教育熱心な飼い主の小指めがけて頭突きをし、飼い主の小指の腱を切ってしまう子イヌだ。だけどたかが子イヌじゃないか。
 ときどき氷を入れてやっても、お湯のようになっている水受けのなかでは、あっという間に溶けてしまう。なんど入れても溶けてしまう。
  お前のおかげで、子イヌは、小屋に掛けてある”よしず”に八つ当たりしている。そのずれた”よしず”を直そうとして小屋に近づくと、またまたあえぎの回数が多くなっているのに気付くのだ。見てるとかわいそうだ。
 だけど、不思議なことにだんだん滑稽に見えてくる。そしてついマネしてみるけど、もうすでに人には絶対マネできない速さだと気づく。
 いったいどういうつもりなんだ。 昼間から、水やりをさせ、氷屋をさせ、日よけを作らせ、イヌのマネをさせて。医者の仕事なぞできやしないじゃないか。
 そもそも昼間からイヌのマネをしてる医者なんておかしいだろう。 もういじめないでくれ。もうチベット、力を弱めて、患者さんを家から出してくれてもいいだろうに。

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