技術屋

 貝を使って海の状態を調べようというニュースより。
 アコヤガイは「通常は10分間に1回だけ貝殻を開いて1分ほど呼吸する」けど海が汚れてくると、長く深呼吸し始めるそうな。ということで貝にセンサーを付けて開閉を観察すれば、赤潮を初め、海が汚れてくるのを早く察知できるんじゃないかということで開発されたもの。
名付けて「貝(かい)リンガル」。


 こういった研究というのは、なんだか夏休みの宿題ってカンジだし、終わりに「理論」とかつく、むずかしそうな話よりずっと身近だよね。
 いわゆる技術屋さんたちが中心となった研究ということなんだろう。
 で、思い出したこと。
 人工知能の研究をしている知人がいるんだけど、神経回路のモデルを作ってみたと、ある雑誌に載せていた。神経の電気的な振る舞いを表現するという機械なんだけど、理論と同時にその写真が掲載してある。
で、あるとき会う機会があって、機械を作ったのかと訊くと、自分は作ることはできないという。理論を考えるだけで、作るのは技術屋さんというわけ。
「できない、できない」と強く否定してたのが印象的だった。
 技術が目に見える分、技術者というのは科学者のなかでもどちらかというと素人さんよりの立場にあるんじゃなか、などという印象をボクなんかつい抱いてしまうんだけど、とんでもないことなのね。
 この貝リンガルだって、データ集め、その解読、センサーの開発とそれぞれその道の技術屋さんにしかできないことがいっぱい詰まってるんだろうね。
院長  「ボクも実は技術屋さんなの」
スタッフ「またアホ話ですか」
院長  「疲れてお酒を飲むと、身体が赤くなりむずがゆくなる人っているよね」
スタッフ「で?」
院長  「皮膚の痒さをセンサーで測り、疲れの度合いを調べるの」
スタッフ「で?」
院長  「名付けて『カイ、リンガル』」
スタッフ「技術屋というより…疑似憂鬱や」
院長  「…なんだか憂鬱ってわけね」

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