小学校時分のある時期、ものに当たり散らすことで怒りを表現していたことがあった。といっても朝の登校時だけのことだ。
実家が商売をやっていた関係で、上がりかまちから玄関まで数十メートルの通路があったのだが、朝、登校前に親とけんかをすると、腹いせに通路に置いてある自転車や靴箱や掃除道具などを蹴散らしながら玄関まで向かったのだ。
家の者からは、ものに足を取られながら逃げ去る小ザルとしか受け取られなかったようだが、もしSigard がそばにあったらどう反応しただろうか。
Sigard とはケンカを察知するコンピューターだ。いろんな雑音のなかで人の攻撃的な言葉を感知しカメラをその方向へ向ける。この装置によりモニターを監視する人員を減らすことも可能だし、たとえば公共の場に設置されれば騒動の火種を未然に防ぐこともできるかもしれないという。
実際にオランダのいくつかの場所で導入されており、イギリスの警察でも検討されようとしている代物なのだ。
だがこのSigard 、まず声の認識から入るらしいが、それは弱点になりはしないだろうか。たとえばくだんの小ザルの行動などは捉えることができるか心配だ。なにせ無言のままの行為なのだから。
そもそも声がどの程度変化すれば怒りとして捉えているのだろう。小ザルに実験することはもはやできないので、そのなれの果てである大ザルに思考実験で試してみたい。
まずSigard に大ザルを怒らせることからやらせてみよう。
Sigard 「ボケ」
院長 「…」
Sigard 「ヤブ医者」
院長 「…」
Sigard 「エロおやじ」
院長 「…」
Sigard 「あなた、怒ってるでしょ?」
院長 「黙っていたのに分かるの?」
Sigard 「あなた、当たりまくっているでしょ?」
院長 「…このクソメカ」
Sigard 「ほらね」
「ボケ」と「ヤブ医者」はともかく「エロおやじ」は褒め言葉かもしれませんね。
救命救急のERにあこがれていましたが、EROになってしまいました。