ネコひねり問題

”猫に大判を与えるとどうなるのか”、”忙しいときに猫の足は借りられるのか”、”引っかかれず猫をかぶる方法は”
もし院長が猫に関する論文を書くとすれば、ざっとこんなテーマになるだろう。

だが物理学者たちの関心は少し違う。
現役の物理学の教授の手による「『ネコひねり問題』を超一流の科学者たちが全力で考えてみた」(グレゴリー・J・グバー著)を読むと分かる。
高所から落下する猫の着地の秘訣を解き明かそうとしているのだ。

なぜ落下中にからだをひねることができるのか。
高速写真や理論の発達を以て、現在以下の4つの視点が得られているらしい。

1)手足の曲げ伸ばし
2)上半身または下半身の曲げ伸ばし
3)腰の曲げ伸ばし
4)しっぽの回転

これらでなんとか猫のひねりをある程度は説明できるようなっているようだが、たとえばロボット工学への適応へなど、まだまだ遠い道のりだ。

本に書かれた前半の高速写真の発展の歴史までは、さすがに猫より文字を知っていると自負するだけあって簡単に読み進めることができた。

だが物理の理論の話で盛り上がってくると、徐々に猫さんたちの仲間入りすることになる。

角運動量やフーコーの振り子ぐらいまではなんとかついて行けたが、相対性理論の登場、果ては量子力学が登場したときには、ドラえもんが猫型ロボットと知ったときと同じような唖然とした驚きを以て読み終えた。

とはいえドラえもんがなんだろうと楽しいものは楽しい、そんな本でもあった。