ネアンデルタール人

「ネアンデルタール人は私たちと交配した」を読んだ。
なにせ今年ノーベル医学賞を受賞したペーボさんの本だ。もし医者の集まりでペーボさんに会っても警備がきびしくなかなか近づけないかもしれない。でも警備員からつかみ出される前に「実験ノートと生活日誌を合わせたような本でしたね」の一言ぐらい声を掛けたいではないか。

つまみだされるとき、「ネアンデルタール人のゲノム解析のため、何十年も夢を追い続けられたのですね」と大きな声で労いたい。声が届かなくなるほど引き裂かれても「とくに古代の遺物に混入する微生物やそれに触れた人のDNAなどを除去するために大変な苦労をされたのですね」と叫び続けたい。

とはいえチンパンジーと人の違いが何%だといわれてもなにを意味しているのか分からない院長が手に取るには少し背伸びしすぎた本だったかもしれない。
研究の記述についてなにか感想がいえるぐらいの力があれば、ペーボさんに会ったとき、取り巻く関係者から押さえつけられる前に「ペーボ研究室のお茶くみでもさせてください」と土下座ぐらいするかもしれない。

え、ド素人のお前のDNAが混入するから来るなって、ですか。失礼しました、と土下座の頭をさらに低くするしかない。