サルの尻

 研究者というのは、どういう視点からものごとを捉えているのか、なかなか理解しがたいときがある。きっと研究者も、院長がどういう視点で生きているか分からないだろうから、お互い様だ。
 今日のメモは、赤毛ザルを使った実験で、自閉症の謎を解き明かそうとする試みるものがあったので、触れてみようかと。
 その結果から自閉症に臨む道が開けていくらしい。難しい話だ。だが、興味を引く事実がある。オスザルがメスザルのお尻を見るのに、サルもお金を払ったということだ。
 もちろん、お金はそのまんまの意味じゃない。メスザルのお尻の写真に色目を使うために、ご褒美のジュースをあきらめたという。つまり代償としてジュースを差し出したということだ。まるで人が色っぽい大衆誌を求めるのに、お金を払うように。
 ただ、奇妙なことに、サルは写真のなかのレディを触ろうとしないという。


 さてさて、何人の殿方が反省ザルになられたことだろう。
 いろんな反省点があるはずだ。写真というのにサルと一緒に色気を出してしまった。あるいは、サルと同じように、写真雑誌を買ってしまった。あるいはサルは触らないのに、写真のモデルの体の線に沿って指を這わせた、などだ。
 さらには、ひょっとして、サルもあんな非常識なことやるんだろうか、いや、いくらサルでもあれほどまでのことはしないんじゃなかろうか、そもそも俺はサル以下なのかどうなのか、などと心配される向きもおられるだろう。
 でも大丈夫。お金を払っているあいだは、サル以下じゃないということだ。
 と考えると、お金を払わずに生カミさんを見ることができるものとしては、サル以下なんだろうか。とはいってもお尻の写真に色目を使うために、ご褒美のビールをあきらめることなど、絶対にないことを考えると、やはりサル以上なんだろう。
 …などと、自分がサル以下かサル以上かと悩んでいるものがいることなど、研究者には想像もつかないだろう。
 この研究の結果から、どう自閉症の研究へ結びついていくのか想像もつかないから、お互い様だとも思うけど。

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