群から離され不安になった羊は、仲間の顔を見せられると、安心するというニュースより。
 顔の大きさほどの逆三角形の写真が掛けられた部屋に、羊さんをひとりぽっちにする。この逆三角形は顔をイメージさせているそうな。 で、血液のなかのストレスホルモンを測ると高くなっていて、心電図を取ると、心臓バクバクの状態になっている。
 その状態で15分ほどして、今度はその写真を仲間の顔写真に変えるものと、羊さんと親戚みたいなヤギさんの顔写真に変えるものと、逆三角形そのままのものとに分けて調べると、仲間の写真を見せてもらった羊さんはホルモンも心臓も落ち着いたという。


 農業で羊を移動させるときとかに役立つかも知れず、ヒトの子供でもひとりになって不安になっているときなんかに、愛しい人の写真を見せて応用できるかもしれないという。
 実験そのものの評価はさておき、羊さんが、ヤギさんと自分を区別ができるということには感心した。中学校の通学路の土手に放し飼いになっていた動物を見て、アホな同級生らと羊かヤギか、決めかねていた記憶がある。そんなヒトらに比べたら、はるかにエライ。おいしい紙を一年分上げたいくらいエライ…って羊さんは、紙を食べないんだっけ?
 ところで、どうして自分の顔が羊顔だと知ってるんだろうか。自分の顔など見たことがないに違いないのに。きっと、ご幼少のころ、まわりにいた羊さんたちの顔をみて、自分も羊顔なんだなぁと推測したんだろうなぁ。「みにくいアヒルの子」みたいにヤギさんたちと育った羊がいれば、やはりヤギ顔の写真の方が落ち着くんだろうね。
 逆に羊顔の写真だと、心臓バクバクが続くことになるんじゃなかろうか。
院長  「やっと疑問が解けた」
スタッフ「というと」
院長  「最近、鏡を見ると、いつも不安になってくるのね」
スタッフ「というと」
院長  「洋画の俳優さんを見過ぎたせいなのね」
スタッフ「起伏に富んだ、メリハリのある顔に慣れすぎたと」
院長  「そうそう」
スタッフ「おのれの起伏のなさに不安になると」
院長  「そうそう」
スタッフ「たんに人生の起伏に不安な顔が映ってるだけじゃないですか」
院長  「…そうかもしんない」

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