うちのアホ犬とのコミュニケーションは良好だ。賢い飼い主ともなると相手が吠える意味がよく分かるのだ。
「いつも同じドッグフードだけど、また食べたいな」でワン、「朝からなにも食ってないよ、ねぇあんた聞いてんの?」でワンワン、「このボケ」でワオーンワオーン、「早くエサ持ってこい」でワオーンワオーンワオーンワオーン。アホ犬の主張はざっとこんなカンジだ。
そんな飼い主から見ると疑問に思わざるを得ない研究があった。
コンピュータの方が人より犬の鳴き声が分かるという。ハンガリーの研究者が行った実験は犬が吠える状況を以下のように分け、それぞれの鳴き声を記録しそれをコンピュータに分析させるというものだった。
その状況とは、
・飼い主がいなくなったあと、知らない人が登場したとき(他人)
・訓練学校で訓練士の腕にあるグローブに噛みつくとき(闘い)
・飼い主があたかも一緒に散歩に行くぞというふりをするとき(散歩)
・飼い主が犬の前でボールを持っているとき(ボール)
・飼い主と綱引きなどで遊んでいるとき(遊び)
・公園で飼い主から木につながれひとりぽっちになったとき(孤独)
の6つだ。14頭のハンガリアンシープドッグを対象に記録した6000もの鳴き声をコンピュータに”聞かせた”ところ43%でどの状況か当てたという。ちなみに人が同じ音を聞いて判断できたのは40%だった。
さらに詳しくみるとコンピュータは(他人)と(闘い)でより正解率が高かった、ってなことがネタ元で述べられている。
さて、なにが疑問なのか。
まずワン公の気持ちになって感情という視点から上の6つの状況を捉えてみよう。(他人)や(闘い)は対象への恐れ、憎しみ、怒りというものがベースにあるのは間違いないだろう。あるいは(散歩)や(遊び)は期待や喜びだろうし、(孤独)は寂しさだ。
では(ボール)の鳴き声はいったいどんな感情を基準に吠えているのだろう。
いよいよ疑問の核心に迫ったようだ。
実験に参加したと思って想像して欲しい。
実際の実験はデジタルな音を聞くというものだが、この際、幕の向こうにワン公がいるとしよう。
(他人)の吠え方と(遊び)の吠え方の違いは、理由はうまく説明できなくても、違いがあることは感じ取れる場合があるような気はしないだろうか。
おそらく人が鳴き声を聞いて判断するとき、まずその声に含まれるおおまかな感情の要素を分析し、さらに細かな識別へと移っているはずだ。コンピュータのアルゴリズムはどんなものかは述べられてはいないが、きっと人と同じやり方で分析していると想像される。
そういう意味ではより感情が発現しやすい(他人)や(闘い)でのコンピューターの正解率の高さもうなずける。
ではボールはどうだろう。もし幕の向こうでボールを前にしたワン公が吠えたら、その鳴き声をほかの鳴き声と区別できる自信はあるだろうか。
考えに考え続けたが分からない。あまりの難問に力つき、ビールも底をつきそうになったときだった。
ふと自分が賢い飼い主であることを思い出したのだ。よく考えてみれば簡単なことではないか。
鳴き声を判断するのは声の質だけではないのだ。
ネタ元
Computer Learns Dogspeak
でもなぜボールなのか、未だに理解できません
昔、バウリンガルってのありましたよね。
猫用のニャウリンガルってのもありました。
ただ、猫の言ってることが分かっても
腹立つだけかもしれません。
お互い誤解しあっているのがいい関係なのかもしれませんね。