概念

 昼、ある人からある医学的な質問を受けた。その方、医学知識が豊富な方なので専門用語を使っても大丈夫なんだけど、答える際にある用語が出てこない。結局、用語を用いずに概念を少し説明してあと続けたんだけど、最後の方になって「あ、リガンドでした」って思い出したのね。
 このリガンドってのは、細胞の受容体という、いわば細胞の膜についているアンテナのようなものに関する概念なんだけど、忘れたら忘れたでそれについて説明すればいいんだけど、やっぱり使えるモノなら一言で済むからなにかと便利だなぁって実感したわけで。


 そもそも人と話をするときには、いろんなレベルで用語の使用を使い分けているはず。
 ボクらの場合は、患者さんに医学的なことを説明するときは専門的な用語はなるべく用いないし、医学的な勉強会ではそれぞれの分野の専門用語を用いて討論している。患者さんに説明するときは、概念の説明をしなくちゃならないから、それだけ時間を食うんだけど。
 で、思い出したこと。
 いつぞや、うちのスタッフが職場の仲間にある日のNHKの朝ドラの内容を説明されていたのね。で聞いていると、登場人物の会話や状況を丁寧に追って説明されている。
 もう少し簡潔に話すやり方もあるんじゃなかろうかなぁとか思いながら、用事のあったボクは途中で席を外したんだけど、10分ぐらいして戻ってもまだ話は続いていたのね。
 朝ドラの放映時間は15分。だとしたら、ほとんどそのマンマを説明していたことになる。例えば兄と弟の仲違いの会話を「けんか」って概念で言い表わさずに、逐一会話の内容まで説明されていた、なんてことにね。
 なんとなくうーんってな気持ちになったしだいで。
 きっとその方の概念というものに対する概念は、そのままがいぃねん ってなことなのかしら。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。