この間、メモをさぼってたいいわけを少々。
一番の理由は、クリニックの人的体制が変わったこと。零細家内工業的医療機関としては、一人でも欠員が出ると、残されたスタッフへの肩の荷が極端に大きくなる。で、院長も現場に出ざるをえなくなってしまって。
しかも月初めというのは、前月の医療行為の請求書づくりをしなくてはならない時期で、動員時間も延長する。
この請求書というのがこれまた不可解きわまりない代物で、1点が10円になるという大原則のもと、点数をはじき出すんだけど、その根拠などほとんど不明な計算法でいくつもの数字が出てくる。
たとえば薬を院内で出すと、その薬のお代だけでなく調剤料とか処方料とかが付いてきて、なおかつときに訳の分からないお金が加算される。もちろんすべてはルールに則ってやられ、そのほとんどはコンピューターがしてるんだけど、なにせ零細のことゆえ、お粗末なお手製のプログラムが出した数字を、人力でエッチラオッチラ補いながらやってるのが現状なのね。
で、出てきた点数をなんど電卓で叩いても、コンピューターの計算と違ういうことが、なんども起こってしまった。でもスタッフがするとスラスラと同じ結果になる。足を引っ張るような事態にもなりかねないんだけど、それでも、枯れ木も山のにぎわい的存在として駆り出され続け、ホトホト実務能力のなさになげきながらも、仕事をこなしメモする時間がはぎ取られていったわけで。
そもそもバナナの一本と一本を足すと二本になるのが分かるのと、算数の足し算 1+1 は 2 であるのを理解するのには、かなりの隔たりがある。1+1 の 1 はバナナの一本でもなく、石の一個でもなく、人間の一人でもない 1 なわけで、それを理解するのは、かなりの抽象化する力が必要なのね。
だから子供は、数は数えられても、ある程度の年齢にならないと足し算は無理なの。
でもね、この間の自分を振り返ると、ひょっとしてその逆バージョン、つまり具体的に数を数えるとなると、相当に弱いという人って、いるんじゃなかろうか、などと思ってしまったりして。
院長 「『キスしようか』とか平気でいうけど、具体的な恋愛、苦手な人っているよね」
スタッフ「はい?」
院長 「『チューしようか』は得意だけど、具体的なことは苦手な人」
スタッフ「……たんに仕事がしたくなかっただけでしょ」
院長 「はい」
と、まぁそれだけでなく、まだほかにもいくつかの理由で、メモが全く書けませんでした。追々、それについてもメモをしていこうかと。