「夢を叶えるために脳はある」を読んでファンになった池谷さんの、その本なかに次のような文言があった。
「総じて、生命は動的非平衡だ。よいかな。動的平衡ではないから注意してね」
さて、なんに注意しなければならないのか、すでにファンである福岡伸一さんの、”動的平衡”にあるのではないのではないのかとピンときた。
自然界では放っておくと無秩序さは増すだけで、その度合いを示すエントロピーはプラスに作用するだけだ。それなのに生物はばらばらにならずに、ひとつの塊としてあり続けている。
だからエントロピーをマイナスにし続けなければならず、ゆえに、生命は動的な非均衡にある、というのが池谷さんの主張だ。
では福岡さんのいう動的平衡とはなんなのか。
たとえば「生命とは流れゆく分子の淀みにすぎない」というような視点が根幹にあるのだが、個人的には医学でいうホメオスタシス的な捉え方もあるような気がする。
ホメオスタシスとは「生物が外界の環境が変化しても、体内の状態を一定範囲内に保とうとする仕組み」(AIより)のことだ。
たとえば体の中のPHはある範囲のなかに収まっている。それは+に変化しようとするとーの要因が働き、逆もまたそうだからだ。
つまりプラスとマイナスの要因で、このホメオスタシスは成り立っているのだ。
“分子の淀み”さえプラスとマイナスの要因で成り立っているような気がするのだが、いずれにしても二人の主張をつまびらかにすることは間違いなくメモのエントロピーが増大するだけなのでやめにする。
ただ分かるのは、明らかに二人の表現は異なっている、ということだ。
一方は、生命とは動的非平衡、一方は生命とは動的平衡。
さてさてファンとしてはどうしたものか、うーん、閉口するばかりである。