医者になって得したことがある。人から信用してもらえることだ。
医者になって損したこともある。患者から信用してもらえないことだ。
一方は職業で信用を測り、他方は個人で信用を測っている。つまり信用の基準が異なっているといえるだろう。
この長年の経験をもとに我が家の家訓が作れないか考えていたが、信用について別の角度から科学的な光を当てた記事があったので、それも参考にしたい。
米国の研究で、男性と女性では信用の基準が違うというのだ。
チームとか会社とかクラブなどの自分が所属する組織に相手がいると信用をする傾向にあるのが男性で、女性の場合は友人とか家族とかその友達などに信用の基準を置く。つまりは男性は象徴的なつながりに、女性は個人的なつながりに信用を置いている。
147名の学生を対象とした研究で、相手からお金をどれくらいもらえるか予想することで相手に対する信用の度合いを測るというものだ。
学生をパソコンの前に座らせる。研究者からの決まった3ドルか、あるいは知らない人からのお金か、どちらをもらうかオンラインで決めてもらう。知らない人からのお金は11ドルまで上がると告げられている。
学生は3回試された。それぞれ”知らない人”の条件が異なる。
一回目は同じ大学にいるという知らない人が登場する。
二回目は他の大学にいるという人だが、学生の知り合いがいるという人。
三回目は学生には知人のいない大学からきたという人。
4分の3の学生が3ドル以上もらう方を選択した。3ドルをもらうことを選んだ学生では男女間の差はない。だが知らない人からお金をもらえるのを期待した学生では、男性は同じ大学にいるという人へ、女性は他の大学だが知り合いがいる人へより信頼を置いた。
つまり男性は組織的なつながりに、女性は個人的なつながりに信用を置いている、というのがネタ元の内容だ。
なるほど、これは大事なことを教わった。
米国だけの話かもしれないとの見解も述べられてはいるものの、信用に関する十分な考察がなされた研究だ。
ということで、我が家の家訓をこうしようかと考えている。
金で信用を測るな。