キログラム

　重さを表すグラムに大変なことが起こっている。目方の不備がめっかったのだ。
　現在のキログラムは写真の「国際キログラム原器」というもので決められている。パリ郊外にある国際度量衡局で、厳重に管理保管されているという。

　これが少しでも狂うと世界中のグラムの基準が狂ってしまうのだが、なんとそれが起こってしまった。今回精度維持のための測定をすると５０マイクログラム少なかったというのだ。
　実は同じものがいくつか作られ世界に配置されていてそれらと比較して精度維持を計っているのだが、この国際キログラム原器だけ減少し、ほかのものには変化がなかったという。原因は不明だ。
　いずれにしろこんなことじゃだめだと科学者たちはこれからのキログラムについて議論を始めた。
　そもそもほかの単位は自然界にあるいろんな数値を用いて定義されている。たとえばメートルは光の速さを用い、秒は原子の振動時間を使っているが、このキログラムだけは１８８９年に作られた白金（プラチナ）とイリジウムの合金であるこの人工物を基準にしているのだ。
　さらには、たとえば長さでいえばメートルが基本単位でありキロメートルはメートルの千倍という具合に、普通はキロは基準の単位として用いられないのだが、重さの基準はキログラムなのだ。
　なにかと不都合だらけのキログラムなので、ほかに代わる重さの定義がないか科学者たちはいろいろ案を出している。
　たとえばアボガドロ定数を用いるものがある。もちろんアボガドがドロっとしたような脳になってきそうなので説明はできない。
　あるいはプランク定数を用いたアイデアもある。もちろんプランクトンのような脳みそしか持ち合わせてないので理解できない。
　とにかくキログラムはいまこんな試練にさらされているのだ。
　詳しく理解できないとはいえ、新しい基準を模索する科学者たちの努力に敬意を表し、せめてキログラムがこうした事態にあることを世に知らしめる呼び方を提案してみたい。

ネタ元
Official Kilogram Losing Mass: Scientists Propose Redefining It As A Precise Number Of Carbon Atoms