正直に告白しよう。カミナリが恐い。カミさんも恐いけど、カミナリはもっと恐い。
原因は中学校のときの経験にある。夏休みを返上して室内で部活に励んでいたときのことだ。
カミナリが近づいていたのはみんな気づいていた。だがまさか近くに落ちるとはだれも思わない。と突然、光が輝き轟音が鳴り響いた。
一瞬どよめきが起こる。その直後だれかが発する声で校舎の窓を覗くと、すぐ近くの大木が裂き損ねた割り箸のように立っていた。
あれ以来、カミナリからつけねらわれているような気がする。発生するといろんなところにカミナリを落としながら院長を捜しているようなのだ。
買い物のおつりをごまかすことがそれほど人の道から逸れているのだろうか。ビールを一本こっそり袋のなかに忍ばせることがそれほどいけないことなのだろうか。
恐ろしい限りだ。おかげでカミナリが聞こえ始めると、すぐに避難場所を探すようになった。カミナリが鳴るとあの大木のように裂かれてしまうのではないかと、本当に心が凍り付いてしまう。
ああ、目も小さいが肝っ玉も小さいやつだと己を嘆いていたら、凍り付くのはどうももっとほかの理由があるらしいのだ。
宇宙からのデータで分かったことだ。カミナリが起こるときは、氷の固まりができている。熱帯であれどこであれ、地球上のカミナリと氷の粒とは結びついているらしい。
高所で出現した1mmから8mm径の大きな氷の粒は電気的な嵐のなかで無数の衝突を繰り返し、大きな粒が小さな粒から電荷を奪い去る。カーペットをこすると静電気が起きるように、大きな粒に静電気がたまっていく。
大きな粒はやがて雲のなかに落ちていく。そこで雲に電荷を奪われてしまい、通常地面に届く前に溶けて雨になる、というのがネタ元に述べられているカミナリと氷の関係らしい。
ということで、カミナリで凍り付くのは、高い上空で出来た氷のせいもあるのだ。肝っ玉のせいだけではないんだぞ、と自分に言い聞かせている。
でも人は冷たいものだけで凍り付くものではない。おつりやビールのごまかしを見つけたときのカミさんの姿を見れば分かる。
頭から出る湯気も人を凍り付かせるには十分だ。
ちなみにカミナリは落ちるのが恐く、メモはオチないのが恐い。
ネタ元
Lightning has an icy heart
静電気も大の苦手なのだ!
一言で言うとビールを思い切り振って栓を開けるようなものですね・・
1本しかないビールを呑もうと思ったら泡だけで体が凍り付く・・どう、どう?
夫は 風呂上がりの私の素顔に凍りつきます
私は 暗い夜道でうしろから聞こえる足音に凍りつきます
うそです
落ちないと怖いモノも。