中国の大道芸人が耳で車を引いたという。それも卵の上を歩きながらの技で、卵を一つも割らなかった。その芸に、道行く人は立ち止まって見入っていたという。写真がその映像だ。
さて、この話は本当だろうか。
ウソだろ、というのが第一印象だ。
耳で車を引くだけでも無理そうなのに、卵の上にそれも割らずに乗るなんて、いくらなんでもそりゃ無理だろう。
読んでおられる方も大半が同じ思いじゃないだろうか。
でもその理由をきちんといえる人はどれほどいるだろう。印象だけではいけない。ものごとは科学的に説明できなければダメなのだ。
ヒモを歯でくわえながら車を引く大道芸は有名だが、そもそも車を引くとき、動き始めるのに必要な力がどれほどのものか。それは、「最大摩擦力=静止摩擦係数×垂直抗力」なのだ。
こういう式があったような気がしたので、歯を食いしばってネットで調べるのに要した労力も大きいけど、この動き出す力もかなりの大きさだ。
でも頑丈な歯であればそれくらいはできる。いつもカミさんから噛みつかれているから分かる。
でも、耳はそんな大きな力に耐えうるだろうか。
耳というのは鼻と一緒で、軟骨でできている。
物理に少しでも通じている人なら、こんな問題でアタフタしながら、えらそうにメモしている院長の鼻なぞ、ほんの数行でへし折ることができるだろう。
それほど軟骨というのは柔らかいのだ。
これでお分かりだろう。これはかなりいかがわしい記事なのだ。インチキなしでやると、きっと耳が裂けるに違いない。
そもそも、か弱い耳でそんな芸をやろうとすることは、遠い昔から禁じられているのだ。
耳タブーというではないか。
卵の方はどうなのだろう。ネットでいろいろ検証してみたので説明してみよう。
横浜の物理サークルの方が卵の上に乗ろうとした実験があった。物理好きの方が定期的に集まり、子供たちをはじめ一般の方に簡単な実験で物理を身近に感じてもらおうとの趣旨で活動をされているサークルだ。
その報告があるので、せっかくだから紹介してみよう。
「卵の殻が非常に丈夫だということを実感させるため、卵のり(4個の卵に乗るというもの)を演示した後、その卵をビニール袋に包み手で握らせます。片手で思いっきり強く握っても割れないくらい強い…はずだったのですが…。
しかし、例会の場で何人かが試みに横方向に握ってみると…卵はあえなく握りつぶされてしまいました。かなりの勢いで中味が噴出する。そのせいで高杉さんはYシャツを卵だらけにしてしまい、大変なことに! ごめんなさいm(__)m」
これでお分かり頂けただろう。日頃物理にいそしんでおられる方が絵文字まで使って謝らねばならなかったほど、卵に乗ることは難しいのだ。
いくら卵の殻が強いからといって、車を引きながら割らずに乗れるとは到底思えない。
メモが長くなったので、以上の考証をもとにまとめてみると、こんなカンジになるだろうか。
耳で車を引くだけでも無理そうなのに、卵の上にそれも割らずに乗るなんて、いくらなんでもそりゃ無理だろう。
卵の方はこの人の技量に関係なく、下にしいているクッションが、きちんと圧力を分散させることが出来れば乗ることは可能なはずです。車を引っ張る横向きの力と卵にかかる縦向きの力がベクトル合成されたら、卵はわれそうだけどね。
カラオケで、テレサテンを漢字のみの歌詞で歌う人たちは信用しないことにしてます
日産ヒーマ。
日産ヒ―マとか バリバリおやじギャグ(≧∀≦)座布団半分~。