ATP

学校の生物に出てきた、ATPについて息子から質問されたので、喜んでいくつかの点を説明した。

まず細胞のなかを飛び回る、糸で縛られ圧縮された小さなバネのようなものだ、ということ。そこにはエネルギーが蓄えられている。糸を切るとバネがピョンと伸びてエネルギーが出されるからだ。エネルギーの形態は現実のバネとは異なるが、ATPにも同じようにエネルギーが閉じ込めてられている。そしてある糸を切ると、エネルギーが出てくるのだ。
そのエネルギーは、物質の生合成や筋肉の収縮などの化学エネルギーや運動エネルギーとして利用される。そしてこの同じシステムを使いすべての生物は進化してきた。

そんな感じでプチ講義は終わったのだが、ひとりになってふと思うことがあった。
このとてつもなくすばらしいシステムは生物が生きるために獲得してきたものだ。

細菌が動きまわるのにも、虫が飛ぶのにも、植物が成長するのにも、イヌが走るのにも、人が銃を手にし引き金を引くのにも、ゼレンスキーやプーチン大統領が演説するのにも、すべてこのATPが用いられている。
決して無意味に殺しあうために獲得したものでなかったはずだ、と。