肘掛け

 一昨日の朝の番組で”ドクハラ”についての話があってた。”ドクハラ”とはドクターハラスメントの略で、ボクの理解している言葉でいうと、意識するしないに関わらず、医者が専門性という立場を”利用”して、患者を精神的に苦しめること。
 番組で紹介してた例として、「もう長生きしないんだから」と患者の家族にいうとか。(関心ある方は”ドクハラ”で検索してみて)


 もちろんこんな態度は許せないけど、その番組で”ドクハラ”を告発してる組織の人がいってたことが気になって。
 朝の診療の前でゆっくりと番組を見てないんだけど、どうやらその人、医師らしい。で、彼がいうには、患者は丸イスなのに、医師は肘掛けイスに座っているのはおかしいんだと。もちろんドクハラではないけど、そういう無神経さが、ややもすればドクハラに通じるとおっしゃるのね。
 でもね、ちょっと待ってよっていいたい。丸イスは患者さんの背中を診察するときに便利だし、肘掛けイスだってじっと座ってばかりの仕事のときは楽なだけで、決して多くの先生はふんぞり返るために使っているわけじゃないと思うのね。実際ウチの丸イスはボクが使っているイスよりクッションがよく、数段、値が張るやつなんだよなぁ。
 それに医療じゃないデスクワークの仕事だって肘掛けイスなんて普通に使ってるよね。そうするに肘掛けイスは忙しい合間にちょっと休むためのもの。
スタッフ「そんなこといっても、うちは忙しくないんじゃないですか」
院長  「寒い冬の夜、易者さんが街で一人ポツンとイスにすわって客を待っているとするだろ」
スタッフ「はい?」
院長  「ときにやってくるお客さんが易者さんの前に座る。ふと見ると、易者さんの膝に毛布が掛かってる。確かに自分の膝も寒いけど、ても、易者はふんぞり返っているとか思わないだろ」
スタッフ「肘掛けもそれと一緒ってわけですね」
院長  「そうなのよ」
スタッフ「それに院長の場合、肘掛けがないとどちらが患者でどちらが医者か分からないですもんね」
院長  「そうそう、意地を賭けて医師として見られないと、仕事にならないもんね」
スタッフ「意地かけイスってわけですね」
院長  「……今日もヒマね」

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