相関と因果

院長は夜の街でビールを飲むといつも周りの女性にもてる。だが不思議なことに昼間、女性に言い寄られたことはない。

相関関係と因果関係を理解する、一つの例だろう。

二つの現象が起こるタイミングに規則性があっても、かならずしもそれぞれが結果や原因ではないということで、科学ではその二つを明確に分けて理解することが強く求められる。「LIFE SCIENCE」(吉森 保 日経BP)を読むとさらにその意義が理解できる。

ポピュラーサイエンスの本で、吉森さんの研究するオートファジーがとても分かりやすく説明されているものだ。
オートファジーとは、細胞のなかで繰り返される分解と合成の過程だ。

オートファジーの生物学的意味はいつかある。

ひとつは飢餓のときのエネルギー補給。
ひとつは細胞をいつも新しい状態に維持すること。
そしてひとつはいろんな病気を防ぐこと。

最後の点については、過程の解明はいろんな創薬につながる。数年前、大隅良典さんにノーベル賞が与えられたのも、その貢献度によるものだ。
著者は大隅さんの弟子にあたる方でもある。

繰り返すが大変分かりやすく、かつとても勉強になった。ただ後半の後半に出てくる健康にまつわる話には慎重になる。

オートファジーは美容にもいい、どれくらいの摂取量か分からないが、納豆やキノコはオートファジーの活性化にはいいなど、もちろん著者も述べられているのだが、因果関係が明らかになっていないことがいくつか述べられているのだ。

いくら優秀な科学者の言だとはいえ因果関係が証明されていないことを鵜呑みにすることは控えたい。

とくに日本ビール党の代表代理人の秘書のかばん持ちとしては気になるくだりがあった。

動物実験では赤ワイン投与で寿命が延び、オートファジーと関係があるかもしれないというのだ。
なぜビールではないのか、ビールとオートファジーの関係はどうなのか。人体実験が必要なら、院長がビール被験者になってもいいと思っている。

秘書から代表代理人に上げ、日本ビール党があるのかないのか確認後、あればそこの代表に疑義の声を上げてもらいたい。

ということで、夜の街とは関係なく女性にもてるにはどうしたらいいのか。
今宵スーパーで買った安赤ワインを手にしながら真剣に考え続けるのであった。