検索診断

 病気の診断に Google が役立つという記事があった。そのなかにこんなくだりがある。
「医師は疾病の診断をくだすのに頭のなかで200万のことがらを持ち出している」
 数があまりに多すぎてそんな馬鹿なと疑問を抱く方も多いだろう。だが現場にいるものとしては納得できるものだ。
 診療の場を再現してみよう。患者が診察室に入ってきたときから思考は始まる。


 この患者は馬ではない、牛でもなく、犬でもネコでもない。こうしたことがらだけでゆうに百は越す。次に自分は本当に医者なのか自問を繰り返すことも百回はくだらないだろう。それが済むとようやく患者の観察に移る。
 そのときとてつもないことがらをやっている。なにせ患者の髪の毛だけでもゆうに数百万本はあるのだ。
 どうだろう200万かどうかは別として途方もない思考の作業をやっているのだ。これだけの作業をやったあとは風邪とかハラ痛などの病名を二つ三つ思い浮かべるのが精一杯だというのがお分かり頂けるだろうか。
 これほどやっかいな作業だからグーグルが登場するのも自然の成り行きかもしれない。オーストリアの研究者によればとりわけマレな症状を有する病気の検索に役立つという。
 実際に自分の父親が Paget-von Schrotte というまれな病気だと診断できた人が紹介されており、研究者らは英国の医学雑誌にあった診断に苦慮した26症例-クッシング症候群、クロイツフェルト病、脳炎、肝硬変など-を症状の検索で診断できたと報告している。
 いくつもある検索エンジンのうち Google を使ったのは300万以上の論文にアクセスができ概観するための厳格な基準を持っていて、かつ手軽に利用できるから、というのが研究者らの言い分だ。
 検索用語には専門性が求められる。たとえば”お腹”、”痛い”などではヒットしないということだ。一般的な表現と専門用語との変換アルゴリズムが登場すれば、さらに一般の人やこのクリニックにとってとても役に立つものになるだろう。
 そのうち Google や Yahoo の間でこの領域での競争が始まるかもしれない。そのときはどちらを使えばいいのだろうか、今から迷っている。
スタッフ「院長は まるっきり Yahoo派ですね」
院長  「というと?」
スタッフ「てんで Yahoo」
院長  「…」
スタッフ「点で、ヤブ」

ネタ元
Doctors use Google to diagnose disease

“検索診断” への2件の返信

  1. 検索が上手にできれば医者はいらないってことかな~?(笑)

  2. 検索のうまいヘタに限らず、わたしはいらない医者かもしれません。

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