勘違い

 男性の睾丸のことを最近の業界用語では精巣(せいそう)という。学会などで睾丸という呼称を用いると笑い者になる。うちのクリニックでも院長を”清掃”係と呼ぶと笑い者になる習慣を早くうち立てねばならないと心密かに思っている。
 その精巣を間違って手術で取られた男性がいる。遠い南アフリカでの話だ。
 72才の男性がその被害者なのだが、微妙な問題をはらんでいるので名前は公表されていない。病院の部長が考えていたのは、前立腺を取る手術だった。でも実際に手術をしたのは部下の医者だ。その医者はどういうわけか、精巣を取る手術を行った。


 実は患者は、医者から精巣を取ることをちゃんと説明されていたのだ。だったらそれでいいじゃないかと思うのは早とちりだ。
 手術が終わってから、もう一人の医者が出てきて、間違った手術をしたと患者に告げたのだ。
 少し話がややこしい。野村萬斎が「ややこしやややこしや」というのに負けず劣らず、ややこしい。それだけじゃなくこの話を理解するためには医学的な知識が必要なのだ。
 ということで、少し医学的な説明をしてみよう。多く説明して欲しい人は、ここでは危険人物と見なされるから、注意してほしい。
 記事には書いてないけど、患者は前立腺癌だ。南アフリカに行ったことはないけど、分かる。この癌の治療の一つに精巣を取ってしまうというのがあるのだ。
 部長は前立腺を取った方がいいと考えた。一方、部下は違う治療の方がいいと考えた。つまり治療方針についての意志疎通が医者のなかでうまく行ってなかったのだと思われる。
 幸いにしてこの患者には重大な結果をもたらさなかったが、もちろん勘違いはいろんな事故の元凶だ。アフリカで起こった事件だけに、ターザンの石としなければならないだろう。
 ちなみに後でこんなやりとりがあったんじゃないかと。
部長「前立腺の手術といっただろう」
部下「いいえ、精巣の手術といわれました」
部長「なにか勘違いしてるんじゃないか」
部下「いいえ、You ”Say So”」

ネタ元
Testicles gone in ‘wrong op’ 25/04/2005

“勘違い” への3件の返信

  1. さっき 投稿したけどはいらなかった。
    {/buta/}
    さっきのは この(U)の像が睾丸ばかり大きくて 肝心なとこが先細り・・・って入れたんだけど、今は この絵文字が入れたいばっかり・・・{/kaeru_en2/}

  2. 増えてるようですね前立腺癌。
    かかりたくない病気のひとつですね。(かかりたい病気はないけど)

  3. 2年前の健康診断で、医師に何か質問はと聞かれました。
    私 「すい臓がんにかからない方法は?」
    医師「ありません」
    といわれました。やっぱりそうなんですか?

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