薬剤耐性細菌

 抗生剤という薬がある。
 体のなかに入ってきた細菌を懲らしめる薬なんだけど、どんな菌でもやっつけられるわけではない。それどころか、うまくその効果をかわすような細菌も出てきた。これを薬剤耐性細菌という。
 そんな厄介ものの代表にMRSAというものがある。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌のことで、その英語の頭文字だ。よく分からなくても大丈夫。NCCI(注)がここ直方市の商工会議所の略だといわれてもピンとこない人も圧倒的に多いのだ。
 このMRSAについてのニュースがあった。厄介ものを、厄介じゃないものに変えることができるかもしれないという内容。
 まずメチシリンについて説明しなければいけない。一目で分かるのは、5文字のカタカタということだ。
 これ以上の説明は、ここでは必要ないだろう。
 それよりも、抗生剤についての説明の方がより役に立つだろう。一番身のためになるのは、このメモを見るのをたった今やめることだろうけど。
 世の中で忌まわしいものの代表として、まっさきに思いつくのはお金だ。必要なときは手元になく、いらないときも懐にない。もちろん、すぐ近くにいる女性より忌まわしさは劣るが、すぐ近くにその女性がいるので、これ以上の言及はできない。
 で、財布が忌まわしい細菌だとしよう。この財布の機能をなくすのが抗生剤だ。そのやり方にはいろんなものがある。財布ごとグシャっと壊してしまう。皮を腐らしてしまう。お金を抜いて、クリニックの前に置いておく、などだ。
 チャックを壊してしまうというのも一つの手であり、、ある種の抗生剤はこのチャックを壊している。だけど、MRSAはチャックに鍵を掛けて抵抗するようになった。まぁ細菌は細菌で、殺されないよういろいろがんばってるわけだ。もちろん院長も毎日の毒味は忘れない。
 今日のニュースは、ある物質がどういうわけか、この鍵を壊して、またチャックを開くようにするみたいだ、ということらしい。
 でもね、仮にこの物質がいつの日か、臨床に用いられるようになっても、また細菌もがんばって生き延びるすべを獲得するのに違いない。
 余談だが、こうした細菌と薬のようなイタチごっこは実社会でもよくみられる。
 クリニックではお金を消費することを「散財」と呼ぶ習わしがあった。カルテ用紙一枚でも、財がない以上、散財なのだ。それがいつの間にかソファを購入することを「散財」と呼ぶようにしむけられた。
 それから注意深く、散財を監視していたのだけど、やがて小さくても光輝くものを買うことを散財と呼ばされるようになった。
 クリニックには負担がかかるだけで、いわば厄財なのだ。
 実社会にもこうした、厄財耐性妻菌がいることに、みなさん、お気づきだろうか。

(注)Noogata Chamber of Commerce and Industry の略だそうです。

“薬剤耐性細菌” への3件の返信

  1. 大変むずかしく、、、。
    ただ、諸般のことに、ご苦労なさっていることだけは、伝わってきました。
    話はとびますが、「死んでん図というタイトルで、よる8時に流したら、500pvはくるとおもうのですが、、、。

  2. 看護学校のテストでMRSAを日本語で書くだけで20点くれるステキな先生がいましたよ!…もちろん、ここの院長じゃあありませんけど(☆o☆)

  3. 厄財耐性妻菌に負けない為に“出稼ぎ(当直)”という抗生剤で戦っています!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。