GPS

 コカコーラを飲むと、懸賞が当たるだけでなく、家まで届けてくれるという企画があるらしい。
 グローバル-ポジショニング-システム、つまり衛星で位置を確認するGPSが入った缶を手にすると、「ラッキーな当選者は突然、目の前にプレゼントの乗用車がどーんと現れることもある」という。


 いま人生のどこにいるかも分からず、はっきりいってオノレの地球上の位置などに関心を寄せる余裕などない。その証拠に、GPSの付いたクルマにはあこがれるけど、いまだにマイカーにはGPSを付けてないのね。
 いずれスーパーのくじ引きで当たるか、コカコーラさんがGPSの付いたクルマをどーんと持ってきてくれるまで気長に待とうと思っている。
 とはいってもオノレの位置はやはり知っておかないといけないよということを、つい最近体験したのでメモしておこうかと。
 先週の土曜、この片田舎から、やや遠くの片田舎に住むある知人宅を目指していたときのこと。
 少しお酒が入るかもしれないので、電車を選択。なんどか伺ったことはあるものの、クルマでしかなく、大まかな地域は分かるものの、どの駅が近いか、とんと見当はついてなかった。まぁ近くまで行けば携帯でもして教えてもらえばいいよね。
 ということで、家を出る。
 その日は別用もあり、それを済ましたあと、タクシーで、”大まかな地域”の最寄りの駅まで運んでもらった。
 院長の心のようにちっちゃな駅で、さっそく構内から知人に携帯をして、最寄りの駅名を教えてもらう。
 で、いざ切符を買おうと上の方に掲示してある運賃表を探しても、その駅名がない。ひょっとして快速しか止まらず、こんな小さな駅から行かせてもらえないんじゃなかろうか。なんど探しても見あたらず、そんな考えもふと頭をよぎったけど、よーく考えると、そんなこと、ないよね。じゃあ、聞き間違い?確かに電話先は盛り上がっていて、こちらも気が急いて確認を怠ったのかもしれない…などと動揺し始める。
 でもね、神様はGPSのように見守っていてくださるのね。なんと、告げられた駅名をフロントガラスの上に掲げたバスが駅前をゆっくり通過していくじゃないですか。
あ、あれに乗ればいいんだと、今までの思案は黒板に書いたチョークのようにさっと消し去り、駅前の広場にあるバス停に向かった。
 でもバスからは降りてくる客だけで、だれも乗ろうとしない。不思議に思いながら、うしろを振り返ると、駅舎の屋根にある看板が目に入った。
 そこには、教えられた駅名があったのね。
 話が長くなったので、よく分からない方へのメモのまとめ。
 自分がどこにいるのか分からないようなやつは、人生でも迷うぞってこと。

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