霊場

 今日、車で福岡へ行った帰り、四国八十八箇所の霊場で有名な街を通ったんだけど、そこは、正月ということで人が多く、細い道は渋滞気味。で、ようやくそこを抜けだし、峠の道に入った。そのときのこと。
坂も頂上に近づいたとき、白地に縁の一部が赤く塗ってある小さな看板が立ててあるのに気づく。近づくにつれそこに書いてある文字がはっきり読みとれてきた。
「つらいけど、人生は上り階段の方がいい」
なるほど、人生、下りよりゆっくりでも登っていた方がいいよな。うまいこというな。看板のレイアウトもなんとなく神仏がかっているし、きっとさきほど通った霊場のなかの札所の方でも書かれたのだろう、などと有り難い気持ちで読ませてもらった。


 それから数十メートル行くと同じ外観の立て看板がまた目に入る。そこに書いてあったのは、
「人生まだまだ笑っていた方がいい」
そうか、そういわれればそうだな、怒るより笑って過ごした方がいいよな、などとまたまた納得。さらに数十メートル行くと同じ看板が。
「かんしゃくの く を取ったら人生笑顔」
うんうん、そうだそうだ。”く”を取ったら、”かんしゃ”ってわけね。いいことをいうだけでなく、洒落も分かるお人なのかしらなどと、感心してしまって。
 でもね、さらに数十メートル先にあった同じ看板にはこんな文字が。
「ビッグレグホンの卵、あります」
確か、レグホンって鶏だよね。とか思ってるとさらに先の看板には、今度は横に矢印がついて、「休憩所あり」との文字。確かにその矢印の先には茶屋がある。
要するにその茶屋の看板だったわけでして。
で、少し茶屋の主人にもの申したいと思って。
院長 「霊場を通ったばかりだから、有り難い言葉として読んでたのに。ひょっとして霊場をダシにしてるんですか」
主人 「そんなことはありません。うちはビッグレグホンをダシにしてるんです」
院長 「悪い、ジョークは止めてください」
主人 「そんなことはありません。悪いジョークの く を取ったら」
院長 「悪いジョー」
主人 「わ、レイジョー」
院長 「わ、霊場」
主人 「……」
院長 「だからなんなのでしょうか」

ほんとは、とちらでもいいんですけど。ご主人、今度食事でもしに行きますから安くしてくださいね。それと運転中だったので、看板の文字は全くには正確じゃないかも。でも、意味はほぼその通りに違いありませんので。

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