蚊のやつらには本当に頭にくる。今年は庭に芝を張ったので、その思いは何倍にもなっている。
いづこから襲ってくる蚊のせいで、休日には子供たちと芝生の上でキャッキャはしゃぎながら走り回る、そんな夢も砕け、”あ、蚊!”と叫びながらキャーキャー走り回るしかなくなったのだ。


いろいろネットで調べ、そこそこの値段にも関わらずいくつかの蚊対策グッズも購入した。だがいまだにあいつらは庭を飛び回っている。そもそもそんなツールはこの世に存在しないのだ。美辞麗句で飾られた健康器具を追い求める高齢の患者たちにときおり注意を促していたが、おろかなのは自分だったわけだ。
そんなこんなで蚊について考えることの多い夏だったのだが、そのあげく今、ひとつの仮説が浮かんでいる。それは、日本語ではなぜ、”カ”と発音するのか、ということだ。
いまからメモすることは日本蚊学会に発表するための準備的メモで、飲み屋さん以外では絶対に口外しないでいただきたい。
お国の違いで蚊がどのように表現されているか、ネットからの引用だがご覧いただこう。
イタリア語: zanzara f
英語: mosquito
ドイツ語: Moskito m
ハンガリー語: szunyog
フランス語: moustique m
ポルトガル語(ブラジル): mosquito m, pernilongo m.
ラテン語: musca
ロシア語: комар
どうだろう。お分かりだろうか。英語圏では蚊が来たら”モスキート!”というのだ。同じようにハンガリー語圏では、少なくとも短音ではないと思われる、”szunyo!”と叫ぶ。それがどうだ。日本では”カ”なのだ。警告の言葉としてはきわめて短く、端的な表現となっていないだろうか。
なにをメモしているか分からなかったら、いくつかの日本語の事例を思い浮かべればすぐに合点を得ることだろう。
うっかりしたときは”あっ”、苦しいときは”うっ”、驚いたときは”えっ”、そして蚊が来たときは”かっ”なのだ。
事態を緊急に伝えたいときの言葉として”かっ”は同列にあるのだ。
だから日本蚊学会では研究の結論としてこう発表したい。
歴史的に見て日本人は蚊をよほど嫌っていたのではないか。もちろん会場からは異議を唱える意見がでるかもしれない。だが、少なくともわたしは死ぬほど嫌いだ、と論駁するだろう。それでも異議を唱えるやつがいたら、こう反論する。
”かっ”

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