能古の島

 今日、ふと思い立って福岡市の博多湾に浮かぶ”能古の島”に行った。井上陽水さんの”能古の島の思い出”や、作家の壇一雄さんが最期を送った地ということで有名な島。福岡市内には何年も住んでいたことがあるにも関わらず、行った記憶がない。


 ということで、高速を使って数十分のドライブで渡船場へ。それから10分ほど船に揺られて、いざ上陸。と、たどり着いたものの、目的もなく行ったので、さてどこに行けばいいのやら、そう迷っていると、近くに観光案内所があったので、さっそく覗いてみる。
なんでも島の上にある”アイランドパーク”という、まんまの名前の公園がいいらしい。ということで埠頭近くのバス乗り場でバスを待つことにした。
 客が15,6人ほど集まったころ、バスが近づき停車場に止まる。で、自動ドアが開いて客が乗り込み始めたんだけど、2,3人乗ったときだっただろうか。なんだか乗り口の辺りの様子がおかしい。見ると、ドアが閉まり、おばさんが昇降段のところで止まっている。ああ、なにかのミスでドアが閉まったのね。こういうときは、運転手さん、「しまった」とかいうんだろうか、などと思いながら運転席に目をやった。
 バスの先頭よりにいたため、運転手さんの様子がよくうかがえる。でも彼、なにも気付いてないみたい。
 乗車口は、と見ると先ほどよりも、おかしさが増している。ミスかどうかを別にして、普通ドアが閉まったら無理に開けようとはしないよね。でもおやじが一人一生懸命コジ開けようとしている。で、よく見ると、先ほどのバスのなかのおばさんの左肘が、少し外にはみ出しているじゃない。
 要するにドアに肘を挟まれてたわけ。運転手さんは、しばらくしてドアが閉まったことには気付いたものの、おばさんとバスが一体化していることにはまだ気付いてない様子。ネコバスならぬ、バババスになろうとしているのに、運転席のおそらく開閉のスイッチだろう、それをカチカチと動かすだけ。
 それでも開かないので、席から立ち上がり乗車口のところへ移動し、そこでようやく事態を把握したみたい。
 あわてて屈み、安全スイッチでもあるんだろうか、なにか操作してると、ようやくドアが開いた。
 おばさん、事の始終の間、痛みを訴えるでもなく、怒るでもなくじっとされていた。で無事解放され席に着いたのち、運転手さんから状態を聞かれていたけど、別にケガもなかったみたいで、念のためにと住所を聞かれたあと、バスはようやく出発した。
 おばさんも公園で降りられて、そこのレスランでも一緒になったんだけど、別段左腕には支障がなかったみたい。
 で、適当に時間を過ごしたあと、また埠頭に戻ったんだけど、その帰りのバスでもおばさんとご一緒になって。
 でも、今度は左の二の腕に黄色い布が巻いてある。痛みを押さえるには、そんなことしても意味ないし、骨折だとしても治療が違うし、最初からケガはなかったみたいだし。結局最後になにやら運転手さんに声をかけられて、埠頭で降りられた。
 とにかく最初のときとはおばさんの腕の事態が変わったみたい。
 なにが起こったのかは分からない。でもね、貧乏医者がそんなことにでも遭遇すれば、なにか会社からめぐんでもらうことを期待するな、絶対。地元の大手交通会社だったから、一生涯バス乗り放題券とか、ね。
 とまぁ、こんなヨコシマな考えをついつい抱いてしまって。
 これじゃ、”ヨコのシマの思い出”だね。

 アイランドパークは島の頂きにあり、博多湾が一望できるだけでなく草花がきちんと管理されていて、とても美しいところでした。10月のコスモス祭りがお勧めらしいです。

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