真夜中の怪

クリニックの待合には大きな振り子時計がある。
ここ数日の朝、診療開始前に見ると、どういうわけか12時を指したまま止まっている。
昼間の12時であれば午後の診療時に気づくはずだし、振り子を巻き上げる鎖の長さから判断しても夜の12時に止まっていると判断される。

この時計は一度、20年ほど前に福岡を襲った地震の際に止まったことがある。振り子の分銅が下に落ちるほどの揺れだったので、振り子がその正しい揺れをなすことができずに止まったのだろう。

でも今回の止まり方がそういう外的な力が加わったような形跡はまったくない。
開業時以来30年近く動いているわけで、ここ数年ときどき長針と短針がバッティングすることもあったが、もしそうであれば昼の12時にも同じ現象が起こるはずだ。
真夜中の怪というべきだろうか。

まぁ、世の中の怪、といえば今東欧で起こっていることよりも不思議ではない気もする。