太平洋のマリアナ海溝の深さ1万メートルの深海から生物が見つかったという。「有孔虫」という単細胞生物の仲間らしい。
腰下60cm程度の台所の戸棚に隠されたビールさえ、見つけだすことができないものとしては、驚くばかりだ。
一万メートルという深さを想像してみるがいい。容易に思い浮かべられる人はそういないだろう。三千三百メートルのおよそ三倍といえば分かってもらえるだろうか。
とにかく光さえ全く届かない深い深いところで生き物がうごめいていたのだ。
そうした生物に、”とっても暗かっただろう。水圧でとっても苦しかっただろう”、などといった老婆心で接すると、とんでもないことになる。その環境でそれまで快適に過ごしてきたのであって、違う条件ではたちまちのうちに死んでしまうことになるのだ。水圧だけ考えても、その水深では110,000 キロパスカルになるのだ。1パスカルが分からない人間がなにいってるか、というご批判もあるだろう。正直、一貫の重さもどれくらいか知らない。日本語での重さの表記も理解できてないから、外来語でも圧の表記も分からないのは当然のことだ。
だが、BBCニュースに書いてあったから、間違いない。
だから、この生物への研究は、大気圧になじむようになるまで徐々に圧を下げながら行われることになるだろう。
で、いつか屋台で知り合ったオヤジを思い出す。
それまで居丈高な口調が、医者だと自己紹介すると急に態度が変わった。玄関をピンポンした人が税務署の役人だと分かると、態度を改める院長と一緒だ。
で、くだんの屋台のオヤジにいまどきの医療経営の実状、すなわち患者も少なく、ヒマな診療のことを話すと、「なるほど」とうなずいてくれた。
そして、一言、「医療経営もきびしいんですね」。
違う。勘違いしてもらっては困るのだ。
少ない患者ながらも、今の環境で快適に過ごしてるのだ。確かに、今日も午後の診療は閉店休業の状態だった。開店休業とメモしなかったのは、開店していてヒマな店に申し訳ないからだ。
それでも快適な人生を送れてる。ブログの模様替えは着々と進んでいるし、こうしてメモもできている。
だから、オヤジにいいたい。院長の人生暗いだろう、とっても苦しかっただろう、とか少しでも思わないで欲しい。
確かに遠くにかすかに光が見えることもある。ただ、深海に潜む院長魚としては、たまたま屈折で届く光としてしか、理解してない。今の生活で十分なのだ。
もちろん、海面に上がれば、すぐに順応できる準備は、常日頃からしている。
コメントありがとうございました!
ホームページに「足跡」を残させて頂きましたので。