延命効果

 南極ではもう雪が降っているそうで、ここ九州の地でもだんだん寒さを感じるようになってきた。
 だがどんなに気候がきびしくなろうが、我が家のルールは変わらない。それは九州男児にふさわしく、なんでも亭主が先というものだ。


 朝起きるのも亭主が一番、家の外のゴミを集めるのも、そしてそれをゴミ収集場所に運ぶのも亭主が一番なのだ。
 だからだんだん朝がつらくなっている。
 でもいいこともあるようだ。カリフォルニアの大学での研究で、身体が冷えると寿命が延びるというデータが出たのだ。
 ほ乳類の体温調節は頭のなかのある細胞群がサーモスタットのような働きをすることで行われている。つまり体温が上昇すると体温を下げるようにする細胞と、逆の場合は体温を上げるようにしむける細胞がある。
 研究者たちはマウスに遺伝子操作を加えてこのサーモスタットを狂わせ、そして体温が低くなるマウスを作ることに成功した。
 といっても正常のマウスより0.6°C低いだけだ。ビールを一気に喉に流し込めば下がるような温度のような気もするが、バカにしてはいけない。それだけで温度を下げたマウスは正常のマウスより12%から20%寿命が延びたというのだ。
 従来寿命を延ばすための手段は摂取カロリーを少なくするということが分かっていたが、今回の実験では低温マウスも正常マウスも同じカロリーの食事を与えられていた。
 低温になることで燃やさなくてはならないカロリーが減り、その結果からだにダメージを与える活性酸素が少なくなったのが原因ではないかと研究者らは考えている、というようなことがネタ元に述べられている。
 興味ある研究だ。これから先も研究が進めば寿命の解明にもつながっていくことだろう。
 だが、個人的にもっとも関心を惹いたのは次の点だ。
 この低温による延命効果はオスよりメスのほうがより現れるという。
 これこそ待ち望んでいた研究だ。
 亭主が寒さのなか懸命にゴミを運んでいるとき、ぬくぬくとベットで惰眠をむさぼっているツレに一矢報いる研究だ。
 どうだ。寒空に打たれることのない女性は寿命が長くなることはないのだ。
 その恩恵は亭主の一人占めというわけだ。
 だがこのことは口外すまい。すればますます身体も心も凍えるような目に会うかもしれない。
 今できることは次のゴミ出し日まで風邪を引かないようにしておくぐらいだと心得ている。
 これこそが一番の延命効果なのだ。

ネタ元
Cool down – you may live longer

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