不思議なこと

毎年年賀状を5000通近くいただいている。郵便配達員が誤配しているのか、郵便受けが溢れるのをさけるため届けをためらっているのか、不思議なことにそのうち4800通近くはうちに届かない。年の初めからJPともめるのもためらわれるので、毎年そのままにしているのだが、今年そうした年賀のなかに気になるものがあった。

「今度は是非お会いして、いろいろ不思議な話を聞かせていただければと願っています」との文言が書かれたものだ。

1,2年に何度か会う程度の高校からの友人からのもので、彼はいまや国立大学の医学部教授。ある分野での日本で先端を走る研究者だ。昨年も名誉ある賞をもらっているとてもえらい先生なのだ。

確かに会えば、そこそこの馬鹿話や人生談を語りあう仲ではあるが、己を無能とまでは卑下しないものの、能力のまったくないものとしては「いただければと願っています」などとへりくだった言葉を使われる立場にはない。

ましてや不思議なことといわれても、そもそも雪男を見たこともないし、宇宙人に拉致されたこともない。ツチノコにも湖に立つ金と銀の斧をもった女性にも会ったことがないのだ。

しいていえば、こんな院長でもなんとか生きている、ということぐらいだろうか。

って、まぁ、考えてみればたしかに極めて不思議なことのような気もするけど。