トラック

 部屋を掃除してたら、小学校のころの写真(42Kでちょっと重いかも)が出てきた。おそらく小学校三年生のときのもの。クラス全員が校庭で並んで、最前列の二人が別々の優勝の賞状をもっている。なにか校内のコンクールでの賞だったら、優勝が二つってのもおかしいので、学年の終わりの記念写真だろうか。
 で、ながめていると思い出したことがあるので、それをメモしとこうかと。


 話はこれより上の四年生のときのこと。ボクは小学校のときは、この四年のときを除き、ずーと担任は女の先生で、ただ一回だけの男の先生になるんだけど、これがまた強烈な先生でして。
 メモすることはご本人の名誉に関することだから、実名はいまここでは挙げないけど、百万が一その先生がこのメモを見られてクレームつけてこられても、何十人もの証人、つまりクラス全員が証人なのでまったく問題にならないわけでして。
 この先生、宿題を忘れたとか問題が解けないとかなにか生徒に不手際があると、その生徒を前に出てこさせておしりをつねるのね。まぁそれぐらいだったら、教育的指導ということでいいのかもしれないんだけど、そのやり方が男女を問わずパンツのなかに手を入れてやるんだから始末におけない。
 服の上からでもいいのになんでぇって子供心に仲間と不思議に思ってたんだけど。やっぱエロ教師だよね。
 それだけじゃなく、その先生、しょっちゅう暴力をブンブン振る舞われる方でして。
ある日の昼休みのこと。午後の始業のベルが鳴ったのを気づかずに、ボクを含めたアホたれ小僧が七,八人、校庭でドッジボールかなにかに興じていたのね。
 ふと周りをみるとボクら以外だれもいない。こりゃやばいとビクビクしながら教室に戻ると、やっぱり先生怒ってらっしゃる。
 で、アホたれ連中は教室の後ろに並ばされ、いわれた言葉が「歯を食いしばれ」。
 順に頬を平手打ちされてしまい、その後の御神託が「運動場のトラック、十周してこい」
 いわれるまま、アホたれ小僧どもは運動場に出たんだけど、さてトラックとはなんぞやという話になって。なにせ田舎の小学校のハナたれ小僧たちのこと。陸上競技のトラックなんぞ知るよしもなし。
 で、ようやく写真とクロスしちゃうんだけど、この写真のこの場所に小型トラックが鎮座ましているではないの。
正面玄関のすぐ横なので、業者かなにかが止めていたんだろう。ほんとにこれでいいのか、お互いに問いを掛け合いながらも、このトラックを十周したのね。
 教室に戻ってみると、先生が怪訝な顔つきをする。そりゃそうだわな。今時のひ弱な小学校と違って、学年によっては多いときには一クラス五十人編成の十四、五クラスなんてのもあったぐらいのマンモス校だから、当然校庭もかなり広い。きっとそれを一周するよりも短い時間で帰ってきたんだから。
 事情を説明すると、トラックの意味を説明され、結局アホたれどもの足は十周の距離にヘロヘロになったんだけど。
 でもね、この騒動でビンタくらったときに、仲間の一人が鼓膜が破れたりしたんだから、今だったら絶対にエロ暴力教師って大騒ぎになると思うんだけど。
 日野サンのトラックって、深く深く心に刻みこまれてる。あのトラック、あのまんまじゃ人生のトラック、間違いなく何回も脱輪してると思うけど、その後どうなったんだろう。

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