サバンナ

 昨夜タクシーに乗ったときのこと。運転手は四十代の男性で、ボクの「さむいですね」というあいさつから、すぐに、最近朝と昼の寒暖の差が大きくなったという話になる。彼いわく、「そんな気候をサバンナ気候っていう」らしい。そうだったかなと思いつつも、お子さんがおられ一緒に学んでいる様子なんで、微笑ましく思ったんだけど、それから話はなんとなく変な具合に進んでいっちゃって。
 以下はボクの合いの手を省略した彼の言葉。


「サバンナってライオンがいるようなとこですよ」
「トラとかもいるんですよね」
「ベンガルトラとかも少ないんでしょ?」
「あんなのは絶滅していくしかないんでしょうね」
「トラがいなくなったら、阪神タイガースはなんて名前になるんでしょうねぇ」
 最後の言葉には笑いながら「そうですね」と応えはしたけど…。乗車直後、一時間半も待機していたとぼやいておられた。この不況下で、もっと客を乗せたい、もっとたくさんの客と話をしたいんだろう。その気持ちは分かる。分かるけど、これじゃちょっと話が飛びすぎだよね。
 でもね、短い距離で聞くの忘れたけど、よく考えると日本シリーズやってるし、彼ってダイエーファンだったのかしら。
 だとすると、この会話から彼の深層心理がこう分析できるんだけど。
 タイガースよ、のサバンナって。

でもね、料金払うとき、街に掲げられてる、地元の高校生の国体出場を祝う横断幕が目に入ったので、「すごいですね」ってボクが幕を指して驚いていると、「え、わたしですか」っていわれたのね。
 たんに智恵とか知識を披露されたかっただけなのかしらねぇ。そういえば絶滅の話のときボクが「ほ乳類の種が持続するには最低2,000頭ぐらいいないと無理みたいですよ」とちょっと講釈たれると、なんかムキになって違う話題に移られたような気もする。勢い余って阪神タイガースの名前になっちゃったのかしら。まだ試合途中だったけど。
ついでにサバンナ気候の定義って結構むずかしく、寒暖の差が大きいトコの意味じゃないようでした。

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